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歯磨きに関して

 人は、誰でも30代になったころから、歯周病にかかりやすくなります。この年代になると、それはたとえば歯医者に行って治療してもらっても、完治するということはまずないので、たえずこれと戦ってゆく覚悟が必要です。そのままほうっておくと、歯の根元に近いところから虫歯にかかることもあるし、いつの間にか歯槽膿漏になって歯が突然に抜け落ちることさえあります。
 大切なのは、歯磨き。それをできるだけしっかり行うことによって、歯周病菌の塊である歯垢を取り、それが歯石化するのを防ぐのです。いったん歯石化したら歯磨き程度では取れなくなるので、歯医者に行って取ってもらうしかありません。
 歯垢がたまりやすい場所は、だいたい決まっています。歯と歯肉の間、そしてとりわけ歯と歯のすきまにあたるところです。
 これが毎日しっかりできていさえすれば、ほとんどなにも問題はありません。

 わたしの場合、それが難しいのは、もちろん自分ではそれができず、何人もの介助者にそれを頼らざるを得ないということです。
 それでも、これは徹底した共通理解として、やってもらう必要がある…。

 わたしがなぜ、それにこだわるかと言えば、これまでわたし自身が歯医者通いからなかなか逃れられず、そのために毎週膨大な時間と手間、そして体力を費やしているからです。とくに最近では、歯医者の診療台の上で、治療などの処置を受けるとき、緊張による首などに掛かるストレスが、無視できないものになっています。
 できるだけ歯医者にはかからず、その労力や時間を、他のことに振り向けたい。そう思うのは、わたしの生活を全体としてみれば、ごく自然に了解できることでしょう。

 もちろん、慣れない人にはわたしの歯磨きはとても難しく見えるでしょう。わたしが自分では唇を自由に動かすことができないので、指を二、三本使って思いきって唇や頬の肉を押しのけることが欠かせないからです。
 痛いのではないか、という意識が働くのでしょうが、これにはあまり気を遣う必要はありません。ほんとうに痛ければ、「いたい」とわたしは遠慮なく言います。口の中をできるかぎり見えるようにして、あとはマニュアルに従って局所をていねいに磨いて、歯垢を落としておいてください。
 簡単に血が出るようなところは、歯垢や歯石のために歯茎に鬱血が生じているところです。くれぐれも出血をおそれないでください。歯茎に傷を付けるような痛みさえなければ、かえって自然治癒力を促し、歯周病を著しく改善します。

 歯を磨くとき、肝心なのは磨こうとするところに歯ブラシの毛先をしっかり当てることです。
 それほど力を入れる必要はありません。
 あとは、ただ細かく歯ブラシを振動させるだけでいいのです。歯の表面の場合は、できるだけその面に毛先が無駄なくあたるように、するのです。ブラシの毛の弾力で、ごく自然に、汚れは取れてゆくはずです。
歯と歯や、歯と歯肉との間で、磨きにくいところがあれば、歯ブラシの端のへりや角になっているところをうまく使って、上手に歯垢を落とすようにしましょう。
 くれぐれも、ただやみくもに動かしていればいいとは思わないでください。

 いずれにしても、わたしがお世話になっている荒井歯科室の荒井先生は、そのご厚意で、わたしの介助者には無料で歯磨き指導をしてくださるとおっしゃっているのだから、そのお心を無にするのは、あまりにもったいないことです。彼いわく「自分の歯も満足に磨けない者が、ひとの歯を磨けるはずがない」
 そのとおりです。自分のためにもなることなのだから、ぜひ一度は行ってみてください。歯磨きについての、もっとも基礎になることを、教えてもらえるのだから…。

 要するに、わたしが途中であれこれ言わなくても、安心してまかせられれば、少なくともひととおりはいいわけで、そうすれば余計に首の筋肉を緊張させる必要は極めて少なくなることは間違いありません。
 あとはひととおり終わってから、どこをもう少し、と言ってそこをまた念入りに磨いてもらえればいいだけの話です。
 さらにもう一言。
 今のわたしにとって、頻繁に口を開けることは、それだけで頸椎にかなり負担をかけざるを得ません。歯からなにか大きなカスが出てきたとしても、そのたびにそれをいちいち歯ブラシに取って、水で洗う必要はありません。
 確かにそれを吸い込んでは困るので、時々わたしは舌で唇の外に出します。それはティッシュで拭き取ってもらえばいいので、それ以外の汚れは、うがいの時に自然に落ちる道理です。
 余計な気遣いを捨てて、いくつかのポイントをしっかりおさえること…。それだけで問題のほとんどの部分は解決できます。
 案ずるより生むが易し。とにかくやってみましょう!