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食事介助について

 1998年9月から、遠藤さんの食事のアドバイザーとして栄養士の方が訪問をしてくれています。食事介助のやり方も従来とはだいぶ異なってきました。ここでは食事介助の新しい動きをご紹介したいと思います。
 遠藤さんの現在の食事は、昼食兼朝食の一回と夕食一回です。昼食兼朝食は定番の献立があり(ロールバン1個、チーズ、ゆで卵1個、ヨーグルト、野菜ジュース、コーヒー)介助者が準備をし、夕食は業者の配達弁当(日替わりメニュー)を利用しています。
 この一日2回の食事で数年にわたっての問題がありました。
 それは、食べ始めから終わるまでの時間がかかり過ぎるという点と、一日に取らなければならない摂取カロリーが少ないという点でした。時間面の具体的な数字を挙げると、朝食2時間、タ食6時間が平均です。
 1、摂取カロリーの数値を上げること、
 2、食事時間の短縮

という2つを要望として遠藤さんからかかりつけ医へ出し、そしてその要請を受けて、栄養士さんの訪問が実現しました。
 訪問は月に1回〜2回です。朝食には栄養士・広浜さん、タ食は管理栄養士の松月さんが担当してくれています。

 【朝 食】
 タ食は、配達弁当のためカロリーの調整が難しいので、朝食で食品数を増やし、カロリーの数値をあげるように試みることとなりました。定番の献立は、遠藤さんの希望により崩さないことにし、そこへいくつか他の献立をプラスしていく形をとります。
 例えば、フレンチトースト、シチュー、サンドウィッチ、グラタンなどです。しかし、朝からあまり多くの量を食べるのは胃がもたれてしまうので少量で召し上がっていただくようにしています。他には、ロールバンにバターやジャムをぬったり、ハムをはさんだり、またヨーグルトにフルーツを入れるなどして胃に負担のかからない程度に工夫を加えます。
 朝食時間は2時間というのが平均的でしたが、栄養士・広浜さんの訪問によって45分〜1時間に納めることができるようになりました。勝因は、ゆで卵を半熟状態にすることにありました。かたゆでは、白身もかたく、黄身の部分も口の中でばらついてしまいとても食べづらいそうです。(半熟にできなくてかたゆでになってしまった場合は少し白身部分をカットします)
 定番の献立にさらにメニューを加えても1時間弱で食べれるようになりました。

 【夕 食】
 タ食時での最大の課題は、時間です。
 ときに5,6時間に及ぶこともまれではなかった食事時間を、いかにしたら短くできるかでした。

 管理栄養士・松月さんと遠藤さんとの間で出された答えは、食事時間短縮の鍵は、食事介助のやり方の改善にあるという結論が出されました。食事介助とは、配達されてきたお弁当(だいたい5、6品の献立)を遠藤さんが食べやすいようにしてさし上げることですが、介助者によって個人差がみられました。食品の切り方、刻み方にばらつきがあるのです。介助者自身、どのようにしたら遠藤さんが食べやすいのか分からず、自分の勘に頼って刻んでしまったり・・・ということもあったようです。
 そこで、以下の手順で食事介助を行なってもらうよう松月さんから提案していただきました。
@お食事ノートをチェックする。このノートは栄養士さんと介助者との連絡ノート。一日ごとにメニューに対するアドバイスが書かれている。まずは、介助者は今日の献立は何なのかを見ておく。
A献立を一つ一つ読み上げながら遠藤さんに実際に見てもらう。鏡を使って。ここでどの食品をどれぐらい切り、刻んでいったらよいのかを遠藤さんから聞く。噛みにくいものを特定し、その理由を探っていった結果、単に固いかやわらかいかではなく、ロの中でうまくまとまるかどうかが、大きく関係していることがわかった。多少固いものでも、ロの中でうまくまとまりさえすれば、意外に時間がかからないことも多い。
B切る、刻む。
 遠藤さんの指示とお食事ノートからの栄養士さんのアドバイスに従って行なっていく。道具は、調理バサミを使う。(まな板と包丁は衛生上あまりよくないとのこと)調理バサミは、必ず使用前にアルコールスプレーを刃の部分に吹きかける。
C汁ものは茶こしを使い、具と汁とを分ける。分けないとストローに細かい具がつまり、飲みづらい。
D食事スタート
 最初におかずを入れ、2噛みぐらいした後、ご飯をさし上げる。おかずだけだと、口の中でぱらけてしまい噛むことが難しいので、ご飯の持つねばりを利用して食べ物と食べ物とをくっつけ噛みやすい状態にしていく。これはご飯だけにかぎらず、南瓜や芋類 などの澱粉質の食品でも、食品をまとめることができる。
 お食事ノートへ開始時刻を明記(終了時刻も書く)。時間のかかり具合を把握するため。
E刻みチェック
 遠藤さんが食べやすいように食品が刻めているかを確認する。食品には細かく刻むものと、大きいものの方が食べやすいものとがある。刻みのサイズとして、ノートには「米粒大刻み」「納豆大刻み」と表現している。ハンバーグや卵焼き・豆腐料理はかえって刻み過ぎると食べずらくなる。また揚げ物は表面が乾燥すると食べずらくなるため、てんつゆ(つゆの素:水=4:1に薄めたもの)に浸す。遠藤さんに食べやすさを聞く。口に入れてから全て飲み込むまでに、10分以上かかってしまったら刻み方に問題があるとみてよい。
F介助に集中する
口にものが入っているときは、言葉での指示を出すことができないため、口から汁がたれたり,魚の骨や果物の種などを出したいとき等々に、意志がなかなか伝えにくい。万が一、喉につまらせるようなことがあっても、すぐに対応できるように、常に側にいて手や声でのサインも、見逃さないように注意する。介助を重ねるごとに表情だけでもだんだん、分かるようになるでしょう。

 このやり方を実施してから約半年が過ぎますが、食事時間が以前の半分近くまでの日もあるようになりました。

遠藤さんのお食事について

 

松月さん 一言

 みなさん、こんにちわ。遠藤さんのお食事の時間が6時間もかかると伺った時、私はとてもシヨックでした。今迄は健康な方の食事指導しか経験がなかったため、生きる糧ともなる食事が、ある意味の人生の苦痛となっていることに愕然としました。食べる事は生きること。でもそれ以上に喜びや憩いの時間であって欲しいと思っています。管理栄養士として何ができるか、いろいろ模索してきましたが、結局は遠藤さんに全て教えていただきました。それと、斎藤さんや歯科衛生士の武さん、若い介助者の皆さんのパワーと熱意で、ここまで食事時間が短くなったのです。ありがとうございました。これからも、食事ノートの記載の目的で、最低月2回はエントコにおじゃましたいと思っています。見た目は若いつもりのおばさん(ム―クンには「オバタリアン」と呼ばれました。息子は3人で、団子3兄弟の母です)ですが、どうぞよろしくお願いします。