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秋の朝顔

金木犀匂ふ頃をも過ぎてなほわが朝顔は花をつけたり/いにしへは儚きものの喩へとふ朝顔にわれ励まさるるとは/まさに枯れむと来るひとごとに言はれつつ一輪二輪と朝花を付く/先づ鉢に水遣りて欲しとわれ希ふ枯れがれなりと言ふその前に/店に行けば季節の花の並びをりそれと替ふればよしといふらむ


いのちへの感動もてぬ世となりぬけなげに咲ける花を見てさへ/とりかへの利くいのちにて自らもよしと思ふやこの朝顔のごと/わが窓の柵に絡まる蔓に残る葉はいろづきて趣を添ふ/三日ほど枯葉のみなる朝顔に今朝一輪のちひさき花さく/十一月のこゑを聴きてぞ朝顔はつぼみを残し終に枯れたり


枯れてなほ柵に絡まる朝顔の蔓はさながらオブジェのごとく/朝顔の鉢に出でこし双葉ひとつ寒風の中に耐ゆるもあはれ