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  第32号
 
1995年1月1日発行

 あけましておめでとうございます。今年もよろしく!
 おかげさまで、昨年はとても充実したよい年にすることができました。今年もひきつづき最もradicalな生活の変革を、さりげなく、最も自然体で進めてゆきたいと思います。お互いによい年にしてゆきましょう!

 さて、1月後半は、1年中で一番介助者の不足するこわーいこわーい時期です。なぜって、それは一斉に私大の試験期間で、そのために普段は仏様のような人も目をつりあげ、鬼のように真っ青になって勉強を始めるからです。
 そういう次第ですので、介助の手はとても手薄になります。入れる人は是非とも介助に入ってください。無理な人でも早めに勉強して、是非とも穴を埋めてください。そうでないと、僕は死んでしまいます。なにがなんでも入ってください。

忘年会に30人?

 昨年12月18日には、介助者グループの忘年会がありました。30人、とは言わないまでも25人以上の人が集まり、まさに居る所もないような大盛況でした。
 しかも差し入れや持ち寄りで食べる物や飲む物は有り余るほどで、とてもリッチな気分。集まった人も特異なキャラクターぞろいで、なんともおかしかった。こういう組み合わせは、まさにここでしかあじわえない、といった感じでした。 武藤君が一人で仕切って自己紹介が始まり、一回りまわるうちにみんな酒もほどよくまわってきて、そこここに雑談の輪。時間が来たからと言って突然武藤君が帰ってしまってからは、サンシャインの小林さんと芳賀さんの「ラーメンタンメン…」の歌と踊りが始まってまた突然に盛り上がり、みんながあっけにとられた程でした。
 鷲頭さんが帰る前に歌ったべトナムの歌でちょっとしんみりした余韻を残しながらも、宴はまだまだ続き、終電車を気にしながらみんなが一人一人帰って行った後も、まだまだ酒とおしゃべりはやみませんでした。誰がとは言いませんが、終電車に乗り遅れて戻ってきた人もいました。完全に終わったのは翌朝の8時半。こんなふうになるとは、誰が予測できたでしょうか。なんということ!
 いろいろなおいしい飲物や食べ物を持ち寄ってくれた人、出席できないけど身代わりにと言って差し入れをしてくださった方、ありがとう! とても感謝しています。
 ちなみに、それから一週間、遠藤宅では毎日、この日残った物をたいらげるのに必死でした。

 

松看祭に参加して

 12月10日、都立松沢看護学校の文化祭に参加してきました。有山さんたちが大宣伝をしてくれて、本を売ってもらったのです。おかげさまで、持って行った『だから人間なんだ』が15冊完売、『苦海をいかでかわたるべき』の上下が7組と上巻のみが1冊、それに白砂さんの詩集『鏡よ鏡』が3冊と、予想外の売れ行きでした。
 ぼく自身は、午前中に行われた「人間の不思議」という対談を聞きにいってみました。『完全自殺マニュアル』の著者である鶴見済と、精神科医の高橋和巳とのパネルディスカッション。
 途中からだったので必ずしも正確かどうかは分かりませんが、鶴見は人には生きる自由もあるが、死ぬ自由もあっていいのではないか、少なくとも死にたいという人の前では、ありきたりの道徳やマスコミ的な正義感でいのちの大切さを説いてみても、ほとんど無力なのではないか、ということを強調していました。例えば、重度の欝(うつ)の人のことなどを例にあげながら。
 高橋は、鶴見をたてながらも、精神科医の立場から薬の効用と限界、カウンセリングにあたっての姿勢の問題などに触れていました。面白かったのは、カウンセラーが一方的に治療者の立場にたち、相手だけを病人と決めつけてかかると、それは必ず失敗するという指摘でした。現代の社会では、誰もがどこかに病的なものを持っているのだから、自分も同じ立場にたたないと決してうまくはゆかない、と。彼自身が気がついていたかどうかはわからないけれど、これは明らかに「カウンセリング」の自己否定を意味しています。
 ちょうどその頃騒がれていた、例のいじめによる自殺の問題なども話題に上っていました。鶴見が指摘する一つ一つの事柄については、そうだとうなずけることも実に多かったのですが、ぼくには彼らの対談の中で非常に重要な視点が決定的に欠落しているように思えました。それはどういうことかというと、彼ら自身がみずからのいのちをどのようにとらえ、そこからどういう人間関係を作っているのか、ということです。
 「現代の社会では」というとき、自分自身もその社会を形作っている一員であるはずです。その自覚が欠けている。そこでいろんなことが語られているので、いわば「生きるのも死ぬのもその人の自由でしょ」とばかりに個人個人をばらばらにしてしまっている。人が「死にたい」と思うまでに追いつめられるとき、そこには人間開係のあり方が大きく働いているはすです。生死を選ぶのは確かに個人の自由かも知れないけれど、だからといって「どうぞご勝手に」ということにはならないだろう、とぼくは言いたい。
 一つ一つの同じ事実を、彼らはぼくとは全く反対の側から見ているのだ、と改めて感じて、なんとももどかしい気がしました。被らはみずからがいのちの否定の世界で生きている。それがこの対談の限界になっているのです。いじめによる自殺の問題については、事件そのものにも、また報道のされ方やその中でのいろいろな人たちの発言を聞いて、それに対しても、ほとんどいたたまれない気持ちになっていただけに、よけいにいらだたしささえ覚えました。同じ学園祭でぼくらの本が売れたのは、彼らに対する皮肉でしょうか、それとも救いでしょうか?
 午後のイべントとして行われた「障害者プロレス」は、なんのことはない、ぼく自身が養護学校の小学部時代に訓練室のマットの上で友達とやっていた取っ組みあい、「プロレスごっこ」そのものでした。それがショー化されているだけでそれなりに面白く、見せ物であるとかないとか、そんなことを仰々しく論じあうほどのものではない、と感じました。
 介助など、この日ぼくに関わってくれたすべての人に、心から感謝の気持ちを送りたいと思います。

(遠藤)

ミーティングのお知らせ
 2月3日は節分。「2月は豆まきで酒が飲めるぞ・・・」などという歌をダシにするわけではありませんが、今年は遠藤が年男です。
 そこで、来月のこの日にはまたまたミーティングを兼ねて「大まめまき大会」としゃれ込むことにしました。もちろん、この時には介助料のことなど、真面目に話し合い、知恵を出し合う必要のある問題もあります。それについては、一緒に考えてください。
 その後は、豆まきで大いに福を呼び込みましょう。鬼も大歓迎!
 やはり準備もありますので、一応、4時集合ということにしておきましょうか。金曜日ですが、遅れてもかまいませんので、ぜひきてください。
 …のめるのめるのめるぞ、酒がのめるぞ#b

原稿募集中
 「えんとこ通信」編集部では、みなさまからの原稿を募集しています。楽しい原稿をどんどんお寄せください。あて先は宮内または直接遠藤まで。

 ありのままのいのちをみずから肯定し、そこからお互いに生かしあえる人間関係をつくってゆく。重度の障害をもっがゆえに、ぼくはおのずとその媒介になっている。ぼくなくしてはまずありえないことかも知れないが、一方通行であってはほしくない。(遠藤滋)

 

取扱い書籍の紹介

 遠藤宅は、「ケア生活くらぶ」の東京連絡所にもなっています。知らない人も結構いると思うので、ここで取り扱っている本を紹介しておきたいと思います。

文庫いのちの森1
暗雲の街
新井健司著 1983.5.30
A5判P102 定価1,000円
文庫いのちの森2
だから人間なんだ
遠藤滋・白砂巌共編 1985.7.20
A5判P112 定価1,000円
文庫いのちの森3
詩集 鏡よ鏡
白砂巌著 1988.5.1
A5判P76 定価500円
苦海をいかでかわたるべき
(社会評論社刊)
遠藤滋・芝本博志共編 上1982.1.25 下1982.2.25
A5判P280 定価上下共3,600円
詩集 ピエロにさよなら
(千書房刊)
安倍美知子著 1984.8.10
A5判P101 定価1,000円

 なお、ケア生活くらぶへの案内として、「提案します もう一つの暮らしへのパスポート」、会報「いのちの森通信 第1号」が出ています。これらは無料ですので、開心のある人はぜひ読んでください。
 また、住宅や公共建築物などの、主にハード面の規格を見直すための調査を行っています。ご協力ください。

 

介助料、11月から赤字!
 介助料の総額が赤字となってしまいました。この1年みなさんのおかげで母に助けを求めることがなくなり、それまで浮いていた分のストックがなくなったこと。それに週1回有料の「専従介助者」を頼んだために、例えばハンズ世田谷に穴埋めのための派遣を依頼したときの介助料を、予備の財源としてとってあった重度障害者手当から出せず、それが食い込んでしまったことがその理由です。
 時間あたり350円の今までの介助料はできるだけ維持したいのですが、それが出来るかどうかとてもあやしい状態です。いずれにせよ今までの使い方を見直す必要があるので、会計の平沢さんに資料をつくってもらいました。これを参考に一緒に考えてください。

介助料会計報告(平成6年1月〜12月)

1995.1.10
会計担当平沢真希

[収入] 3,956,460円
(内訳)@重度脳性麻痺者等介護人派遣料 2,727,200円(資料1)
    A緊急介護料(月20,000)   240,000円
    B利息     1,255円
    C繰越金(平成5年12月まで)   988,005円

[支出] 3,472,308円
  
(内訳)@介助料2,118,555円(資料2)
    Aハンズ  976,925円(資料2)
    B振込手数料   57,899円(資料2)
    Cえんとこ通信(コピー・送料)  117,830円
    D本代   33,500円
    E介助者募集(ビラ・ポスタ−)  117,795円
    Fレンタカー(伊豆行)   49,804円

[残金] 484,152円  (平成7年1月10日現在)

(資料1)重度脳性麻痺者等介護人派遣料
  ・平成6年度 1回 6,400×(1日1回、月6回)
  ・平成5年度 1回 5,920×(1日1回、月6回)
     ※月平均 233,066円

(資料2)介助料・ハンズ明細
 のペ時間介助料交通費食事代ハンズ振込手数料
  387.5  112,21020,170 5,200157,000 2,410
  346.5  102,43310,990 6,400160,890 3,090
  360     97,42515,480 7,200148,310 3,399
  422.5  125,55020,070 7,600 97,740 4,401
  290    100,39520,530 3,200132,125 4,326
  485    167,09034,740 8,800 83,070 5,768
  460    161,36041,110 6,000 78,700 2,575
  371.7  147,35419,600 6,000 74,590 4,429
  594.5  205,56943,31010,400 18,050 7,622
10  384.5  154,62227,450 6,800 15,050 4,944
11  504.5  175,87535,650 6,400 11,400 7,622
12  433    153,51230,020 8,400  ※―――一 7,313
計 5,039.71,703,395319,12082,400976,92557,899
月平均  419    141,949 26,593 6,866※85,103 4,824

その他 ・専従介助者(浜野さん)13,640円
    ・介助料 1H@300円(1〜4月)
         1H@350円(5〜12月)
 ※12月分44,313−は別会計にて支出した。但し、月平均には入っている。

 

介助料会計 予算計画(案)

[収入] 1月あたり
@重度脳性麻痺者等介護人派遣料233,000円
A緊急介護料 20,000円
253,000円

[支出]
@介助料183,600円(注1)
A交通費 30,000円
B振込手数料  8,000円
Cえんとこ通信(コピー・送料) 18,400円(注2)
D本代  3,000円
E介助者募集(ビラ・ポスタ―) 10,000円(注3)

(注1)介助料単価(1時間あたり)
月間総介助時間730H32H698H
(1月 30.4日×24H)(へルパー週 8H×4回)

介助料単価 = 183,600 ÷ 698 = 263円

(注2)(コピー代1O円+送料80円+封筒代2円)×20O通

(注3)年間120,000円として12ヶ月でわったもの

[問題点]
1.介助料単価について
 介助料単価は現在35O円だが、月間総介助時間698H全部を介助者が入った場合、263円となるので、どうするか。
2.ハンズについて
  698Hを介助者だけで埋められなかった場合、ハンズに頼ることになるが、時間単価の差額はどこから支払うか。(ハンズは1H800円)
3.本代について
 新しい介助者が遠藤さんのことをより深く理解できるように、本代を介助料で出して遠藤さんの本を読んでもらっている。しかし、実際には貰った本が必ずしも読まれていない場合もあり、読みたいと思った人が自費で購入して読むようにしたほうが良いのではないか。
4.介助者募集について
  ビラ・ポスターは遠藤が自費で制作しても良いが、どうするか。
5.食費について
 遠藤宅で食事を作り、遠藤さんと一緒に食べた場合、介助料から遠藤さんの家計に1食400円を支払っているが、最近、自分の食事は自分で用意してくるケースが増え、必ずしも遠藤宅で作ったものを食べなくなってきている。また、食費は介助に入っていても、入っていなくても、かかる個人的な費用なので、介助料から出すのは止めてもいいのではないか。

 なお、ここには重度障害者手帳から支出している「専従介助者」(杉沢さん)の件については触れておりません。