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調査(980614)

 梅雨時で、予報では大雨と騒がれていた日。延期にしようかとも思いましたが、時折はげしい雨が降る中で、それでも調査は行なわれました。

 

 雨の中、調査を開始する。
 遠藤さんのマンションから小田急線梅ヶ丘駅に向かう途中の歩道を調査。横断歩道のところで、歩道から車道にかけて、段差がどれくらいあるか、また歩道そのものの傾きはどうかを確かめる。
 このあたりの歩道は、車道に向かっての傾きが約 1.3度だった。車道に下りるところの縁石は斜度が6度。実際に車椅子に乗って衝撃を感じてみたところ、やはり通ったときのショックはかなり強い。とくに車道から歩道に上ろうとするときには、必ずといっていいほど、小さな前輪が引っかかる。
 ちなみに、車道から歩道へ上がるときには後ろ向きだと比較的衝撃は少ない。
 細い横道(路地など)が、大通りに接しているところ。ここは歩道でありながら、車道としての役割もかねている。歩道としての機能を優先したのか、他の歩道部分と同じように、煉瓦色のブロックで敷きつめられている。
 車道側への傾斜が、こうした部分できついのかと予測していたが、必ずしもそうではないらしい。かえって傾斜のゆるいところも多かった。機会を改めて、もう一度詳しい調査を行いたい。
 それにしても、この赤煉瓦式の舗装は、車椅子にあまりに強い振動を与えすぎる。どちらも遠藤さんの造語だが、“ストレッチャーバイブレーション”ならぬ“ウィールチェアーバイブレーション”か?
 上の写真と同じ所を拡大して撮ったもの。
 一見、段が丸めてあってなだらかなようだが、車道とのつなぎ部分に 1.5cmほどの段差がある。横断歩道のところも基本的には同じ造りになっているが、車ならともかく、車いすでは車道から上がるとき、このわずかな壁が衝撃の原因になってしまう。
 煉瓦色の部分の傾斜は、おおよそ1度。
 大通りと接する脇道。写真でも分かるように、道の中央部分が盛り上がっている。
 ためしにこの脇道に入ってみたが、左右の側溝に向かっての傾きは2度。このため、車椅子を押していると自然に道路の脇へ車輪が向いてしまう。
 このような道でまっすぐ押すのはちょっと難しい。
 駅までの歩道はこのように煉瓦で舗装されている。雰囲気はとてもいいが、時々煉瓦がはがれていたりする。
 もちろん、車椅子で通るときに衝撃の原因になる。
 ここは梅ヶ丘駅にほど近い所にある緑道。以前は川が流れていたところを暗渠にして、そこを緑道にしたそうだ。
 舗装は煉瓦とざらめ状の表面。意外と振動が大きく、長い距離歩くと車椅子に座っている人はシビレてしまいそう!?
 梅ヶ丘駅北口に向かって、赤堤通りに面した郵便局の角を曲がったところ。この写真の手前側に写っている、三つの黄色いブロックのちょうど右側にあたるところが、上記の緑道にも接している。写真ではわかりにくいかもしれないが、歩道と車道の段差が、ここでは 13cmもある。
 また、右側の白いマンションには地下駐車場があり、そこに出入りする車のために、歩道の縁に滑り止めのための凹凸を付けた29度の傾斜部分が設けられている。もちろん、車椅子で上り下りするのには向いていない。
 ただ、ここの歩道は舗装が旧来のアスファルト。かえって振動がない。
 梅ヶ丘駅北口の階段を下りて、そのすぐ左の歩道の角。ちょうどファミリーマートの入り口の前である。段差は 0.5cmもないが、車椅子で上ろうとすればこの程度でもやはり衝撃はある。
 ここの歩道はやはりアスファルト舗装。だからかえって振動はないが、先に行くほどいつの間にか車道との段差が大きくなり、途中左側のガレージに向かって車が出入りできるようになっているところは、車道へ向かっての傾斜がはげしく、4度を超えるところさえあった。さすがに危険。
 その先、一区画来たところの、信号つき交差点にある歩道。ここも非常に車道への傾斜がきつく、なんとそれは10度。車椅子にとっては、半端な傾斜ではない。
 信号待ちの間、ここで車椅子を押さえているのも結構大変だった。
 上の交差点から、梅ヶ丘駅とは反対方向の、山下商店街(豪徳寺商店街)方面へと向かう道。とくに道路の傾斜は気にならないが、右手に見えるお店に入るには、道路から 14cmも段差があるところを、車椅子の車輪を持ち上げて入らなければならない。
 ちょっとしたことだが、来店者を迎えるときの心配りで、こうした点は改善できるのではないか。
 上記の道路の、少し先。最初は都営住宅の一棟を囲む単なる柵だと思っていたが、よく見れば、実は手すりだった。しかしこのように車が止めてあったのでは役に立たない。それに、この手すりは、内側にある植え込みから出ている灌木の枝に、だいぶ埋まってしまっている。
 いずれにせよ、ここはおそらく、道路脇の側溝に向かっての傾斜を、解消しようと意図した場所なのではないか。道路の左側は2度なのに、この、ごく右端の部分は1度以下に押さえられている。少なくとも、区立総合福祉センターに至るまでは、こうした配慮がされているようだ。
 再び遠藤宅に近い梅ヶ丘中学校の入り口のスロープ。真ん中あたりに平らな部分があり、そこで一旦休めるようになっている。なかなか自然な造り。
 ちなみに、この学校と光明養護学校の中学部とは、交流校になっており、行事などの折りにはしばしば行き来がある。
 梅ヶ丘中学校の角にある公衆電話コーナー。ボックスになっていないので、ドアを開ける手間や、敷居を越える心配などがいらない。
 スペースも車椅子が入るには十分だ。それに、デザインとしてもなかなかしゃれている。電話機の高さを測るなど、細かい点は今後の課題としたい。

   <調査の感想>

 今回は梅雨どきの日曜日に調査を行ったので、遠藤さんは参加しませんでした。そのかわり私達調査スタッフが交代で車椅子に座って、段差を越えるときの衝撃や、舗装された道路を歩くときに感じる振動や傾きを実際に体験することができました。
 普段は気にもとめない小さなことが、車椅子には振動や衝撃となって伝わってくることがわかりました。
 遠藤さんの家付近から梅ヶ丘駅周辺は、“ふれあいの街づくり”と称して、世田谷区の福祉のモデル地区になってきたそうですが、それでもまだまだ不便な点や、改善されるべき点が多くありそうです。
 でも、今ある道路を変えるにはどうしたらよいのでしょう? 自分の家のまわりにも今回調べたことと似たような問題があるときにはどのように解決すればよいのでしょう? どなたか良い考えがあれば教えてください。(KH)

   <付記>

 調査日以降、データにどうしても納得できない点があったので、2度ほど遠藤自ら一部測り直しをしてみました。
 煉瓦色のブロックで敷きつめられた歩道の、車道に向かっての傾斜についてなのですが、結論的にいえば、このやり方では正確な測定は不可能だということが分かりました。
 経験的に言って、この歩道を歩くとき、どうしても車椅子が車道側に向いていってしまう。いくらかの、そして場所によってはかなりの傾きがあるのは明らかなのです。それならば、どういうところでどの程度傾斜が強いのかを突きとめてみよう、と考えたのですが、傾斜が強いと思われる場所についての予測はことごとく外れ、しかも測るたびにまちまちな結果が出るのです。そのわけがやっと分かりました。ブロックのはまり方が、一つ一つ微妙に違うのです。しかも少しでも砂粒などが計器の下に入り込むと、大きく誤差が出てしまう。0度から2度までの間におさまることはおさまるのですが、これでは平均値も出しようがありません。
 こうした路面の場合には、測り方を根本的に考え直す必要があります。一応無難なデータは書いてありますが、そういうものだと押さえておいてください。ここはあらためて計測し直します。(遠藤)