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調査(980510)

 昨年12月には遠藤さん宅の近所にある、梅ヶ丘図書館の調査をしてみましたが、今月の調査では世田谷線(東急新玉川線三軒茶屋〜京王線下高井戸)の上町駅から7、8分の所にある、区立世田谷中央図書館を対象としてみました。遠藤さんの家から山下駅まで歩き、そこから世田谷線を使って上町へ。
 世田谷線の乗り降りや駅の造りも今回の調査のポイント。

 東急世田谷線山下駅。この駅は、小田急線豪徳寺駅との乗換駅になっている。豪徳寺駅から下りてくる階段から、山下商店街を隔てて反対側に、やはり小さなお店の並んだ狭い路地があり、その奥にこの駅がある。
 そこは駅の下高井戸寄り。どちらに向かう側のホームにも写真のような小さな階段がある。段の高さは 15cm。

 山下駅のホームへの三軒茶屋寄りの通路。勾配は最大4度。
 こちらからは小田急線の線路沿いにある一般道路から、そのままどちらのホームにも出ることができる。
 いよいよ電車が来て、乗り込む。世田谷線の乗車は二両連結の電車の前後二つの入り口から。
 ホームから車内まで三段の段差があるので、車掌さん(または運転手さん)に手を貸してもらう。車掌さん(または運転手さん)が車椅子の前を持ち上げ、それに合わせて後ろからも支える。
 入り口がとても狭いので、横から支える人はうっかりすると車椅子と入り口に挟まれてしまう。かなり力がいるので、車掌さん(あるいは運転手さん)の手助けなしには乗れない。
 また、車内も車椅子用のスペースはないので他のお客さんの邪魔にならないよう、車椅子を端に寄せる注意が必要。
 上町駅から世田谷中央図書館までは歩いて7、8分ほど。
 散歩がてら住宅地に入ると、意外なほど静かできれいな道があるが、石畳なので車椅子にはガタガタと振動が大きすぎて快適とは言えない。
 世田谷教育会館の正面入り口。中央図書館はこの一階と地下一階部分にある。
 入り口には段差もなく、広いのでとても出入りしやすい。
 図書館一階の雑誌コーナー。書架の間隔は 128cm。車椅子と人が一人通れるくらいの幅。
 車椅子を書架の方へ向けてみる。通路を全く塞いでしまい、人も通れないし、介助者も車椅子の横に出なければならない。
 また、車椅子の高さから見て見やすいのは中段の三段ぐらいのもので、一番下と一番上はほとんど見えず、上下とも二段目がかろうじて見えるか見えないかという程度。しゃがんだり背伸びをしたりすることができないので、それらの段にある本を探すのは少々骨が折れる。
 これは例えばスーパーやコンビニ、それにレコード店などで商品を探す場合にも、結構重なるところがある。
 上段までの高さは 175cm。見上げれば本の背表紙は見えるがこれもずっと続けるのは疲れる。
 書架と書架の間の通路。幅 83cmとやや狭め。
 だが、ここでわざわざすれ違う必要もないと思われるので、これで十分か。
 奥の窓側の通路。ここは広々としている。
 壁側の本棚には、その他のところよりもさらに高い所に日本史の本が並べられている。普通に立っていても手が届かない高さのところにある。題名はかろうじて読みとることができる。しかし、楷書体でないものはやはり見ずらい。
 貸し出しコーナー。実際並んではいないが、とても利用者が多い。
 ここは英語の本の書架。英語の本はタイトルが横書きで、その上色々としゃれた書体も多く、それが縦に置かれているので少々読みとりに時間がかかる(それは誰にとっても同じことだが)。やはり最上段と下の二段が見にくい。
 貸し出しカウンター横にあった拡大表示機。
 「もしこれが家にあれば、ぼくにももっと楽に本や雑誌、それに新聞が読めるようになるかもしれないなぁ」と遠藤さんは言っていた。
 建物一階にある身障者用トイレ。
 広さは 2.45m×1.9m。十分な広さといえるのではないか。
 流しの高さは 75cm。
 図書館は、一階と地下一階にまたがっている。もちろんエレベーターがあり、地下にも行くことができる。幅、奥行きとも 1.35m。
 ただ、それはあまりに目立たないところにあり、そのため、一度図書館になっている部分から外へ出て、教育館そのもののエレベーターに乗ってしまった。これで地下に下りると、直接図書館の部分には出られない。
 一目で分かるような表示が必要である。
 教育館には、このようなプラネタリウムがある。地上3階、地下2階のこの教育館の中には、そのほか、郷土学習室、視聴覚ブース室、研修室なども備わっている。
 プラネタリウム脇のスロープ。
 東急世田谷線上町駅の下高井戸方面行きホーム。直接裏側にある道路と、電車のホームとの間に階段が三段。1段の高さは 18cm。他の駅と違って、ここしかホームに出られる所はなかった。
 この駅は反対側のホームが踏切を隔てて逆方向(写真左方向)にある。階段はやはり山下駅とたいして変わらず、しかも、ここも踏切側の、その道路方向にしか出入口がない。
 帰りも通行人と、そして行きと同じように車掌さんの手を借りて、電車に乗り込むしかなかった。偶然にもその車掌さんは、行きの時と同じ車掌さんだった。

   <遠藤さんの感想>

 世田谷中央図書館は、梅ヶ丘図書館と違って、敷地そのものが広く、車いすでも比較的ゆったりと利用できる。なにより、行けないところがないのがいい。もちろん、カードで調べたり、司書に探してもらったりすればいいのだが、書名も著者もおぼろげで、色や大きさでなんとなくその本を記憶している場合もある。
 書架は、だからもちろんもう少し低い方がいいし、通路ももう少し広い方がいい。しかし、そうするととてつもなく広大な敷地が必要だということになる。これはいったい、どうしたものか? 自分たちが伊豆の農場の敷地内に計画している資料室を作る際にも、考えておく必要がある問題である。
 東急世田谷線については、やはりホームが電車の床と同じ高さになるようにしたほうがいいのではないか。
 この電車は、もともとは東急玉川線といって、渋谷から来て三軒茶屋で分かれ、一方は二子玉川に、他方は下高井戸に通じ、「玉電」と呼ばれて親しまれていた。ほとんどが路面電車だった渋谷〜二子玉川間が新玉川線として地下鉄化されたために、三軒茶屋〜下高井戸間が取り残される形になったのである。  都内では都電の荒川線と並んで、そのレトロな形を愛好する人々も多いようだが、その雰囲気をできるだけ残しつつ、たとえば低床化するなどして、もっと使いやすい電車にならないものだろうか?