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原子力利用について

 前回に続いて、今回も日本の原子力利用についての話です。

 青森県六ヶ所村に造られた核燃料再処理施設。例の“もんじゅ”をはじめとする高速増殖炉の燃料、プルトニウムを、使いやすいように加工する施設です。そこに、三年前と今年、フランスから船でプルトニウムを運んでくることになって、大騒ぎをしました。
 ウラン燃料にも、じつは限りがあります。これも、あと数十年のうちに使いつくされてしまう。でも、極めて都合のいいことに、原子炉でウランを燃やすと、大量のプルトニウムがいわば“灰”として出てくるのです。これを精製すれば、それ自体をまた核燃料として使える。先進各国ではすでに中止、あるいは凍結の決断をしているのに、資源のない日本の政府は、それがおいしいからこそ、プルトニウムを核燃料とする高速増殖炉にこだわっているのかもしれません。だが、これはそれそのものが猛毒。そのうえ高速増殖炉を稼働するにあたって、今のところ安全管理はほとんど不可能なのです。しかも、こうした過程の中で必ず出てくる放射性廃棄物をどう処理するかという方法についても、答えは何も出ていない。これからの安全管理のために、いったい、いくらかかるのかもわかりません。

 “もんじゅ”の事故が、単なるナトリウム漏れですんでよかった、とぼくは思う。しかもそんなところでつまずいているぐらいだから、「絶対安全」という言葉にすでになんの意味もなくなっていることは明らかでしょう? それでも、まだ政府はプルトニウムをウランに混ぜて一般の原子炉で核燃料として使う、プルサーマル方式にこだわっています。

 あまり知られていないかもしれませんが、日本のソーラーシステム、すなわち太陽光発電の技術は、じつは現在世界一なのです。たいした作物もとれず、砂漠ばかりの国々に、大量に輸出され、またODA(政府開発援助機構)を通じて供与されて、とても役立っているのです。そういう技術が、日本国内で、活用できないはずがないではありませんか。
 たとえば、首都圏の建物の屋上に、面積に応じて一定の割合でソーラーパネルの設置を義務づける。そのさい、国なり地方自治体なりが、いくらかの補助金をだしてもよい。すでに一部の地方で試験的に試みられていることですが、自分の家で使う電力をそれでまかなえた場合、それを超えた電気は、メーターが逆に回って、電力会社に売れるという仕組みが技術的にも開発されています。実際に、それが機能している地域もある。
 そういうと、政府やその官僚たちから、「今のところ、コストがかかりすぎて…」という答えが必ず返ってくるでしょう? でも、今のところコストが高いのは、本気になってそこまで普及させていないからです。やがてはそれに頼るしかないのだから、どんどん推し進めて、大量生産すればするほど、コストはかならず下がります。

 ついでに、ガソリンに代わる自動車の動力。これについても、「可能」という答えがすでにでています。ガソリン燃料の代わりに、水素を使うのです。水素化合物による「燃料電池」…。これなら水が出るだけで、地球温暖化の心配もありません。今のガソリンスタンドに代わって水素スタンドを造り、車は、そこで「燃料電池」に水素を補給すればいい。

 いったい、すこし将来を見据えた場合、原子力に頼るのと、どちらが効率的でしょうか。
 本当はぼくが自分で資料を集めて、きちんとしたデータを示したい。専門家の発表に頼りたくないからなのですが、今のぼくにはできません。できる人がいれば協力してほしい。

 おりしも、西村とかいう防衛政務次官が、就任直後に「核武装発言」をして、結局は更迭されました。が、これがじつは今の政府を形作るひとたちの、本音なのかもしれない。
 でも、「いざとなれば核武装が可能」というディスプレイは、日本国の外交手段としては、すでに時代錯誤なのはあきらかです。
1999年10月20日