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東海村臨界事故について

 9月30日、茨城県の東海村にある原発用ウラン燃料加工施設で、臨界事故が発生しました。「株式会社ジェー・シー・オー」という、民間会社で起こった事故です。

 昼のニュースで聞いた第一報は、放射能漏れの事故があった、その際作業員3人が被曝して専門病院に運ばれた、という程度のものでした。おくれて入ったのは、この施設の周囲350メートル以内の住民に、村役場から屋内退避勧告が出された、という続報でした。
 ところが、その晩になってみると、その屋内待機が必要とされる区域が、いきなり事故現場から半径10キロ以内にまで広がっている…。おりから、気象情報では、関東地方は海から冷たい北東気流がはいるので、翌日は曇り、という予報も出ていたのです。茨城県東海村からは、首都東京はちょうど風下にあたり、およそ100キロ余りのところです。

 事故の現場がどんな状態になっていて、それをどうやって始末しようとしているのかも分からないうちに、今度は「臨界の状態はまだ続いている可能性がある」という情報。東京は大丈夫なのか、とすこし心配にもなりました。暑かったので、窓は明け方まで開け放してあったのですが…。

 とにかく、このたぐいの事件が起こったとき、公に流される情報に、どの程度の信憑性があるのか、ぼくらには判断するすべがありません。絶対安全といわれていた高速増殖炉“もんじゅ”のナトリウム漏れ事故についての、当時の動燃(動力炉・核燃料開発事業団)の公表のしかたを例に出すまでもなく、国家主導の事業組織といい、あるいは委託された民間企業といい、これまでことごとく隠せる限りは隠しとおし、それでもいよいよ隠せなくなった段階で「実は…」と事実をはじめて公表するような顔をし、それで実際にあったことをあまさず語るようなふりをしながら、結局はことを小さめに収めようとするあまり、結果として、さんざんウソの発表を繰り返すはめに陥ってきてしまっているのだから。

 こと原子力関連施設での事故にかんする限り、どんなに隠したところで、それでほっかむりしてすませられる問題であるはずがありません。結果は、遅かれ早かれケタ外れに多くのひとのいのちに関わる、のっぴきならない客観的な事態としてあらわれてきます。
 官、民を含めて、日本の組織形態のなれ合い体質を問題にする人たちもいます。また、制度を厳しくして、国、とりわけ所轄の官庁である科学技術庁などの責任で、しっかりした安全管理を徹底すべきだ、という人もいます。でも、その程度で解決できる問題だとは、ぼくにはとても思えない。それは、これまで同じような事故がなぜ起こり、そのたんびにどうして同じような対応が繰り返されてきたのか、ということについて、徹底的な検証を行おうという姿勢が、関係者の発言の中に、なお微塵も感じられないからです。それらのことを徹底的に解明した上で、それをひとびとの前に全面開示する。それがあってはじめて、やっと本当の議論が始められる、というものなのではないでしょうか?

 ぼくはもう、発電を原子力に頼るのは、きっぱりとやめにしたほうがいいと思っています。もちろん、化石燃料(石炭や石油)がすでに枯渇寸前といってもいい状態にある以上、火力にも頼れない。かといって、これまでぼくらはさんざん川をせき止めてダムをつくり、魚道を寸断し、昔ながらの固有の生活や文化、そしてそれと調和した豊かな自然をも、村ごと水の底に沈めてきてしまったのだから、これ以上水力発電に頼ることもできない。それぐらいのことは、ぼくも知っているし、考えています。だが、しかし…。

1999年10月10日