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好きな作曲家は?

 「ご趣味は?」ときかれたとき、ぼくはしばしば「まぁ、音楽かな」と答えます。
 そうすると、また「どんな?」という質問が返ってくる。「ほとんどクラシック系統の音楽ばかりですね」とぼくは答えます。
 「好きな作曲家はありますか?」とさらにたたみかけられると、じつはいつも困ってしまう。だって、ぼくの興味はせまい意味でのクラシックをはるかに超えて、古くはバロックや、それ以前のルネッサンス音楽など、また、新しくは20世紀の現代音楽にまで、広がっているのだから。
 困ったあげくに、おなじ日本の優れた現代作曲家、武満徹の名をあげるのが、ならいのようになっています。

 でも、本当はモーツァルトの曲を聴いていることが、圧倒的に多い。歌劇『ドン・ジョヴァンニ』のほか、絶筆となった『レクイエム』、ただ一つの『クラリネット協奏曲』、それにピアノやヴァイオリンのためのいくつかの協奏曲、はたまた39番から41番までのいわゆる三大交響曲など、すばらしい曲が多いのです。その他の交響曲の中では、『プラハ』といわれている第38番が好き。第35番の『ハフナー』も、とても気に入っています。

 にもかかわらずモーツァルトと答えないのは、あまりにあたりまえすぎるからでしょうか? じっさい、クラシックを相当に聴きこんでいる人から、さほどでもない人まで、モーツァルトが好きだという人は実にたくさんいます。

 ぼくに特別に、こんなに音楽が好きになる環境があったとは思えません。子供のときに教会で賛美歌に親しんだとか、ぼくが通っていた養護学校に、クリスマスのころになると毎年、立教大学のグリークラブがきて混声合唱を聴かせてくれたとか、その程度です。
 高校時代の音楽の授業とか、大学に入ってからの一般教養の西洋音楽史の授業で、ちょうど1,800年前後には確立されていた古典派の、3、4楽章でなりたつ曲のつくりとか、なかでも必ずその第一楽章を構成する、いわゆる「ソナタ形式」という、この時代に最高度に発展した楽曲のかたちを理解するまでは、やはり長くて退屈、という印象を免れえませんでした。変奏曲形式、三部形式、ロンド形式などという、あのかたちの、ゆきついた先です。どんなに長い曲でも、今どの部分をやっているかが分かるようになったのです。

 おりしも、1967年はベートーヴェンの生誕200年にあたる年でした。その、闘争的な曲調が当時のぼくの心情に合っていたのか、自分が買った二枚目のレコード、フルトヴェングラー指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏による、交響曲第7番がぼくの心を捕えました。そこから、ぼくのクラシック遍歴が始まることになったわけなのです。

 いま、ぼくはCDをあまり買いません。うっかりある指揮者と、あるオーケストラとの組み合わせで一枚のCDを買ってしまうと、それだけを何回も聴くハメになってしまう。
 かえって、テレビや、FMラジオで放送される演奏の中に、新しい解釈を見出して、しばしばはっとすることがあります。それがなかなか新鮮で、楽しい。

 今年から、どちらかというとドイツ、オーストリア系一辺倒だったNHK交響楽団の音楽監督に、フランス系のスイス人、シャルル・デュトワが就任したこと、それに伝統的な天下のウィーン国立歌劇場の総監督を、あの、小澤征爾が2,002年から引き受ける事になったこと。いまのぼくには、どちらも楽しみでなりません。

1999年09月20日