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モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』

 ザルツブルグ音楽祭。ことしはカラヤンの没後10年ということで、その追悼演奏会が、小沢征爾指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって行われました。

 でも、今回はその話ではありません。
 ザルツブルグは、かのモーツァルトの生誕の地です。8月には、いろんな音楽祭が各地で催されますが、なかでもモーツァルトを記念したこの音楽祭は、世界中の音楽愛好家に、最も注目されている音楽祭のひとつです。

 ぼくの手元に、いまからちょうど45年前、すなわち1954年の8月にこの音楽祭で演奏された、モーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』のビデオがあります。指揮はヴィルヘルム・フルトヴェングラー、演奏は主人公役の歌手チェーザレ・シェピ他とウィーン国立歌劇場合唱団、それにウィーン・フィルハーモニー管弦楽団でした。フルトヴェングラーはこの3ヶ月後に肺炎で亡くなっているのですから、とても貴重な記録です。しかもかれが指揮したオペラの全曲の映像での記録は、これひとつだけです。
 今年の1月末、なぜか突然にNHKの衛星第2テレビで放映されたので、喜んでそれを録画したのです。これが、なんときれいなカラー映像! 音質も、意外なほど鮮明です。
 フルトヴェングラーのモーツァルトは、正直にいってぼくはあまり評価していませんでした。よいと思ったのは、残っている数少ない録音の内、『十三管楽器のためのセレナード』ぐらいでしょうか? でも、熱烈なフルトヴェングラー・ファンではあったのです。

 じつは、ぼくは二十数年前、この映像をもとの映画の形で観たことがあります。当時フルトヴェングラーの指揮したオペラのレコードは、ベートーヴェンの『フィデリオ』と、ヴァーグナーの『ヴァルキューレ』ぐらいしか出ていなかったので、これが何とかレコードとして出てくれれば…、とも思ったものでした。でも、カラーではあったものの、それはこの時すでに画質も悪く、音もえらく古めかしいものでした。その後、思いもよらず実に多くの他のオペラ録音が次々と発見され、それがレコードとして発売されていったのには驚かされました。
 この、『ドン・ジョヴァンニ』についても、いまでは前の年、つまり1953年の演奏の録音が、CDとしてとっくに発売されています。もちろん、これは何度も聞きました。

 クラシック・ファンとしてのぼくが一番好きなのは、本当のところ、やはりモーツァルトなのです。なかでも、『ドン・ジョヴァンニ』は、かれの最高傑作だと思っています。
 10年ほど前には、オリジナル楽器による、作曲当時のままの形での演奏、というのがはやりました。その反動でしょうか、現代のオーケストラによる、現代風の演出も試みられて、妙に説得力があるのを、感じたりもします。クラシックにも、流行りはあるのです。

 そんなことにも気付かされて、この、たかが女たらしの物語を改めて楽しみました。

1999年08月20日