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ダイオキシン騒動

 それが、その後あんなにも大騒ぎになるとは、ぼくもその時、思っていなかった…。
 でも、騒ぎ方がどこかおかしいとは、その後の各局のテレビ報道を見て、感じていました。そのとき具体的な例としてあげた所沢の農産物、とくにほうれん草が、スーパーなどでとたんに売れなくなり、値段が大暴落したのです。現地の農家にとっては、たしかに大打撃です。たまたま近くに産廃処理場がたくさんあるというだけで…。
 その後、「葉もの」と言っていたのが、ほうれん草などの野菜ではなく、実はお茶のことだったと分かったり、テレ朝が拠り所としていた民間調査機関のデータと数値が違っていたことが分かったりして、この局をたたくことでパニックは沈静化するかにみえました。が、「ニュース・ステーション」のテレ朝はあくまで強気で、したたかだった。こういう騒ぎがおこるのを予測した上で、あえて仕掛けたのではないか、と思えるほど…。
 だいたい、ものを製造する業者だけでなく、自分たちがダイオキシンのもととなる塩化ビニールなどを含んだゴミを、その生活の中でたいして分別もせずに平気で出しておいて、それで自分だけが安全であればよい、というわれわれ消費者の感覚が、虫が良すぎる。「おいしいところ取り」をしようとする、魂胆のきわみです。
 ところが今回は、まず現地の農協が2年前に調査したデータを公表せざるをえなくなった。所沢の市議会や、埼玉県議会が、国にさきがけて厳しい基準を独自に設ける方向で動き出した。そして、ついに政府も、統一基準作りに重い腰を上げざるを得なくなったのです。全国の産廃処理場周辺での汚染調査にも。それまでいっこうに進まなかった本格的な実態調査と、その情報公開とが、一挙に行われる見通しとなったのです。
 これまで、これ以上は人体にとって危険、とされる国の基準値は極めて甘く、しかも省庁で大きな食い違いがありました。一日の摂取量の限度が、体重1Kgあたり、厚生省が10ピコグラム、環境庁が5ピコグラムとなっていたのだそうです。ちなみに、WHO(世界保健機構)の安全基準は1〜4ピコグラムまで、となっています。
 それが許容量の最低基準として、国でどこまでとはっきり定めようという流れになったのだから、これはこれで画期的なことです。テレ朝よくやった、といわざるをえません。でも、仮に基準ができたとして、その範囲内ならいい、というわけではない。ダイオキシンは、単に発ガン物質であるだけではなく、ごく微量でいわゆる「環境ホルモン」、すなわち内分泌攪乱物質として、おもに生殖器官に影響を与え、種の保存にも大きな影響を与えかねないことが、すでに分かってきています。しかもそのことの重大さは、まだまだ測り知れません。たとえば子宮内膜症など、原因不明の新しい病気のいくつかにも、これが疑われています。
 できるだけゼロに近づけるようにする努力は、ひとりひとりに身近な日常の中でも、おおいに必要です。ぼくらは「いのちの森通信」No.3で、すでに白砂さんがいちはやくこの問題を取り上げています。関心をお持ちの方は、ぜひともご一読ください。

1999年03月10日