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「健康」との健康な関係…!?

 3年ほど前に、『障害と健康――「障害」との健康な関係』という論文をある雑誌に書いた男がいました。わが養護学校の小学部時代からの幼ななじみであり、今はドイツ帰りの哲学者でもある、親友の大津留直です。これまでにも、彼のことについては紹介しました。
 その彼に、ぼくは「“健康”との健康な関係のほうが、むしろ問題じゃないの?」と、まぜっかえしたことがありました。彼はそのとき、「健康な人は自分の健康についてあまり意識しないからなぁ」としきりに難しがっていた覚えがあります。

 それはそうだ、とはぼくも思いますが、昨今の現状を見るにつけ、これはやはり実は違うのではないか、と思えてなりません。実際のところ、自分のことに自信を持って「健康だ」と言える日本人なんて、いったい、どれくらいいるのでしょうか。そんなことを言っているひとがいたら、かえって疑われやしませんか?
 それなのに、なぜか日本人は「健康」を気取りたがる。実際には、戦々恐々として、そのためにかえって、不健康なひとがきわめて多いのに…。それを自覚したがらないというのは、いったい何故なのでしょうか。

 実際には、わが日本国でも突然の病気や事故によって身体に「障害」を負ってしまうひとが、毎年何パーセントかは必ずでてくるのです。そしてそれは、いくら注意していても防ぎようがありません。しかも歳を重ねるにしたがって、その確率は高くなるのです。もちろん、自分の健康に注意することは必要でもあり、また当然のことでもあるのですが…。
 だったら、はじめから社会的に、いつどうなってもいきいきと自分の人生を楽しく最後までいかして生きられるようなシステムを考えておいた方が安心ではありませんか!

 そういえば、以前から日本では「健康ブーム」なるものが、ひきもきらずに流行ってはすたれてゆきましたね。紅茶キノコに始まり、近年ではナタデココやアロエ等々ですか。子供には、健康な食生活すら満足に伝えられない大人が多いくせに、です。
 神社やお寺に行けば、必ずおみくじをひいたり、お香の煙をかぶったり、たとえば東京巣鴨のとげぬき地蔵のように、自分の体の悪いところを何度もなでてあげて、その御利益によって、身にかかる「不幸」を避けようとします。まるでその何パーセントから自分だけを守ろうとするかのように。

 政治家だけのせいにしてはいけません。その政治家を選んでいるのはそういう自分たちなのだし、だいぶ怪しくはなってきているけれど、一応日本は少なくとも民主的な制度を備えた国です。言い逃れはできませんよ!
 「支援費制度」や「介護保険」でもいい。または国や地方自治体による「公的保障」でもいい。とにかく国民的な議論が今こそ求められています。
 経済は、なにかのための手段にすぎないのです。それを見誤ってこれを自己目的化し、昔と同じ経済成長の再来を望むとしたら、これは大間違いなのではないでしょうか?
 もし、日本の制度が形骸化し、このままではどうにもならないと悟るなら、ぼくらと一緒に、国に頼らず、それに取って代わるような独創的な生活と、そのかたちを本気で考えてみませんか? ぜひ…。
2003年06月17日