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マスターベーションの介助!

 もう10年以上も前のことですが、「えんとこノート(介助者ノート)」に、ぼく自身が「マスターベーションの介助、やってくれるひと、いますか?」とふっかけてみたことがありました。結果は、総スカン。
 男で、「今のところ、やめておきます」と返してきたのが2人。「ソープランドの入り口までだったら、車椅子を押して行ってあげてもいいけど、それ以上は・・・」と口頭で言ってきた女性が1人・・・。だから、それ以来ぼくは、ひとまずは性を棚上げにしてでも、人間関係をしっかり築かないと、と思って、いろんな形でのアプローチを試みてきたのです。

 映画『えんとこ』が制作され、その上映運動の会場で売られるブックレットの中に、そんな部分が掲載されているとは、ぼくも知りませんでした。なぜって、いまのぼくは、活字を印刷物のかたちで読んだり確かめたりすることは、極めてむずかしいからです。

 昨年9月ごろ、ここを初めて訪ねてくれた女性がいました。そのひとが、この近くの東京新教会で12月に行われた上映会の会場で、ひそかに渡してくれた手紙がありました。
 それには、「してあげたいけど、やってしまうと、遠藤さんのことがほんとうに好きになってしまいそうで、怖い」というようなことが、書かれていました。それに対して、ぼくは二度ほど、返事を書きました。
 年が明けてから、そのひとがある時突然にあらわれて、きわめて明るい調子で、こんなことをいうのです。「あの時は、失恋したばかりだったので、そんなことを書いてしまったのだけれど、今は新しい彼氏ができたので、とてもそんなことはできなくなった」と。

 ぼくはさしあたって、「まるで鼻先に人参をぶらさげられて、思わず歩かされてしまった馬のようです」と、冗談半分に書いておきました。でも、この一件は、あらためてぼくの心に火をつけました。たとえ直接解決がつかなかったとしても、せめて問題の整理だけはしておきたい、と思ったのです。

 この10年ほどのあいだに、とくに若い世代のひとたちの性に対する意識が、かなり急激に変わってきているな、とはぼくも感じていたところでした。すくなくとも、自分がそのとき本当に「好き」と思えるひととなら、セックスもあたりまえ。その行為に対して、ことさらに後ろめたさを感じるひとは、急激に少なくなくなっていると思います。でも、そうではないひともいる。
 そのあたりを見極めたうえで、聞いてだいじょうぶと思えるひとには、率直に意見や自分の正直な感覚を聞き、それを参考にして、なんらかの道筋を考えてゆくことにしました。

 とにかく、障害を持っていようといまいと、誰にも性的な欲求があってあたりまえ。男はとくに、生理的にたまってきてしまうものがあるのだから、それをどこかで放出しないととてもやっていられない・・・、などと理屈をこねてみても、ことが解決しないのはあきらかです。感覚で受け入れられない限り、ひとはそれを行動に移すことはできません。

 考えているうちに、気づいたことがありました。
 それについては、でも、次回にまわすことにします。 
2000年05月17日