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えんどうさんの健康読本
 おまたせしましたっ。
 スーパーナース和田亜希子とスーパー歯科衛生士加藤麻衣子とスーバーマルテメディア(?)柳沼剛による「えんどうしげるの健康読本」、お届けします。

◎第1部:えんどうさんの健康管理、よろしくネ!

スーパーナース:あっこ

 えんどさんは、出生時呼吸ができなくて脳性麻痺になってしまいました。障害として、筋の緊張、自分の意志でない首、四肢の運動などがあります。その運動をかばうための姿勢をとったり、治療・訓練を行ってきましたが、かえって首の骨が変形し首の骨の中を通っている神経の束がつぶされて新しい麻痺が重なり、寝たきりになってしまいました。
 私たちが日常的に介助していく中で注意していかないと、えんどさんの健康状態を悪化させてしまう恐れがある半面、積極的にかかわっていけば健康状態を維持、改善する可能性も十分にあります。

えんどさんの障害
●1次障害:脳性麻痺(筋肉が緊張しやすい)→不随意運動
●2次障害:頸椎の変形による神経の圧迫
(筋肉の突っ張り、手足のしびれ、異常感覚、排尿機能の不調)
             →身体機能低下による寝たきり
●3次障書:寝たきりでいることによる障害
(全身の筋カ低下、関節の筋肉の拘縮、起立性貧血、自律神経筋肉の凝り→痛み→しぴれの増幅、精神的ストレスによる胃炎など)
●起こしがちな疾患:褥瘡、尿路感染、尿閉

 ここで、注意する点を挙げてみますので、参考にして下さい。
 介助の時はえんどうさんに直接聞いて下さい。

1.首について
l)べッドの上、とくに顔の両側には不要な物をできるだけ置かない。
2)首に負担をかけると危ないので、できるだけ安静にする。
3)体を起こす必要のあるときは、ネックカラーを使う。歯磨きの後のうがいは例外ですが、べッドをギャッチした後、いきなり離れるのは危険です。体が傾いていると、そのまま倒れて落ちる可能性があるので。
4)頭を持ち上げたり、体を横に向けたりするときは急に動かさない。
5)ネックカラーの装着は寝ているとき先に装着し、寝てから外す。
6)電話や食事の時、不随意運動が見られるので額をしっかりおさえ、首には負担をかけないようにする。
7)就寝前、首の後ろ側からマッサージすると気持ちいいのでしてみて下さい。

2.手足のしびれ、つっぱりについて
1)転落、転倒は禁物です。95年12月29日にべッドから転落して筋緊張が強くなってしまい、現在も、まだその緊張が残ってますので、就寝時にはべッド柵を確認して下さい。
2)筋肉が凝っているので、首、肩、背中、腰をもむと少し楽になるようです。
3)就寝前マッサージオイルで、みぞおちの少し上から右肋骨の内側にそってマッサージし、右股関節、うつ伏せにして背骨の両側をマッサージ。
4)入浴できなかった日は、冬などの寒いときは、足が冷えてしまうので洗面器に湯をはり、足をあっためるとか…

3.褥瘡(じょくそう)について
 骨と皮膚の間に圧迫が長時間かかると、その部位の血流が悪くなり、皮膚の組織が死んでいきます。これが褥瘡です。肘、臀部、踵など常が突出しているところにできやすいのです。普通健康な人は、寝ている間、自然に体を動かしているので、できなくてすみます。たいだい15−20分に1回は動かしています。2時間以上動かさないと症状が出始めます。褥瘡はできてしようと手術が必要なこともあり、例えば直径7cm程度のものでも入院期間は平均75日、医療費は150万円近くかかります。しかも、手術のあと1ヶ月近くもうつ伏せで人院生活をしなくてはなりません。
 対策は、褥瘡をつくらないこと、予防することにつきます。そのためには、えんどさんは直接見ることができないので介助者が普段から褥瘡のできやすい所に常に注意を向けておく必要があります。健康な人には、こうるさいことかもしれませんが、えんどさんが我慢して放置しておくと大変なことになります!!
1)圧迫をなくす
 ・背中の小枕の位置は仙骨にぶつからないように置く
 ・膝を立て、仙骨への圧迫を分散
 ・仙骨部にスポンジなどをおき、圧迫を分散
2)シーツやパジャマのしわをなくす
 ・ゴムや縫い目が骨の突出部にあたらないようにする
 ・引っ張ってのぱして、2時間ごとに観察できればして下さい
3)混り気をなくす
 ・汗や尿でぬれたらすぐ取り替え、皮膚を清潔で乾いた状態にする。ドライヤーを使うと効果的!*褥瘡ができたところに尿がついたら大変!!
 ・不潔な状態は褥瘡だけでなく、尿路感染にもつながります
 ・パットはそこら辺においてほこりをつけないように清潔に!!
4)マッサ―ジをする
 ・仙骨部など圧迫を受けやすいところをときどきマッサージし、血行を促す
 ・ひどく赤いときほ逆効楽になるのでやめる
5)栄養をとる
 ・これはえんどさんが分かって自分で注意してます

4.関節の拘縮について
 関節の運動の範囲を関節可動域(ROM)といいます。それぞれの関節には正常な可動域があって、毎日動かしているからこそ、正常範囲の動きが保たれているので、動かさないでいると、どの関節も動きが悪くなります。この状態を拘縮といいます。筋肉の麻痺があれば必ず拘縮が起こってくると思われがちですが、これはあくまで動かさないために起こる現象です。えんどさん本人が動かせなくとも、介助者の手で関節を動かしていれば、関節がかたくなること、拘縮はある程度防げます。
1)四肢の関節を動かしましェう。
 ちょっとした時間にほんの数回ずつでもよいのです。*首は安静です。
2)車椅子で散歩もよいと思います。
3)動かすときは、えんどさんによく聞いて行って下さい。
4)水中、とくに海の中では不思議なほどリラックスでき、全身の働きもとてもよくなるようです。ブールでのリハピリや、夏の海水浴は非常に有効と思われます。

5.移動について
 移動時は危険がいっばいなのでケガや転落のないように注意!!
1)ペッドから車椅子、車椅子からストレッチャーへの移動
 ・必ずストッバーをかける。
2)車椅子やストレッチャーでの場所の移動
 ・手がぶら下がり状態になっていないか
 ・体の位置はよいか、固定するべルトなどしっかりとまっているか
 ・ストレッチャーは、平らなところと傾斜山を降りるときは足の方を先に、傾斜面の昇りは頭の方を先にする。Uターンの時は枕元を中心にして足下を大きく回転する
3)ブールにはいるとき、ブールからあがるときの移動
 ・リフトを使う場合は、落ちないようにしっかり支えてネ!

6.尿路感染について
 尿は体の中では本来無菌で、通常の場合は菌が尿路に入って繁殖することはありえません。えんどさんは排尿機能に障害があるのと、寝たきりなのとで、膀胱や尿道に尿がとどこおりがちになっています。加えて、陰部が不潔になりがちなこともあり、とどこおっている尿を介して膀胱の方まで菌が入りやすくなっています(大腸菌が多くを占めます)。それで感染をおこしやすく、これが膀胱壁などの神経に対して刺激になり、排尿機能にますます障害が起こるという慢性的な悪循環をくり返しやすいのです。
 結果的には膀胱炎などを起こして、1日中尿意が消えなかったり、尿が混濁したり、時に発熱したりします。できるだけ水分を多くとるようにすること、排尿後は尿道に尿が残らないようによくきること(ふる)、それに陰部の清潔を保つことが特に大切です。

7.アレルギ―性鼻炎について
 えんどさんにはダニやハウスダストに対するアレルギー性の鼻炎があります。くしゃみ、鼻水、鼻づまりという症状が出てきます。食事中、鼻づまりだと呼吸が苦しくなり、食べ物を吸い込んで喉に詰まらせる危険があります。
 すぐに点鼻薬を使用することはよいことではないそうで、薬を使うよりえんどさんのまわりをきれいにすれば、この症状ほ少なくなると思います。
1)酸性水かお茶でペッドの周辺の水ぶき 殺菌作用があります
2)布団乾燥機を使う(ダニは40度くらいで死ぬそうです)
 →その後、死骸をそうじ機で吸い取ります
3)布団しき、カーテンの開け閉めは静かに→シーツやカーテンも洗おう
4)空気清浄器を使う


遠藤滋歯磨きの方法
1.歯ブラシ
 ・軽く塩をつけて歯と歯ぐきの境目に当て何度も左右に振動させる(特に下の舌側については何度も行う)
2.歯間ブラシ(図−1参照)
 ・左上5−6番に間があいており、ここがつまりやすいため歯間ブラシをゆっくりと歯の間に入れ数回前後に往復させる
 ・左上3−4番間、4−5間、右上4−5間のクラウン間があいているので丁寧に清掃する
 ・左下5番のブリッジの下(図−2参照)は歯が無いので特に重点的に行う
 ・左下4番については上の方に隙間があるので取って欲しい
 ・右下奥4本はクラウンだが根元に近い所が4本共あいている。できるだけ歯間ブラシで取って欲しい。特に右下6番は隙間がせまいので、つまりやすい事から重点的に行って欲しい
3.糸ようじ
 ・前後に動かしながらゆっくり歯の間に入れ、上下させて両方の歯をこする
 ・下の白い歯5本に関してのみ行い、入る所にはすべて入れて欲しい

 また磨き残しの多い所は以下の箇所です。
@全体的に歯と歯の間
A奥歯の歯と歯ぐぎの境目
B左下のブリッジの下
C左上4番の表側中心寄り
D左下3番の表側中心寄り
E下前歯の裏側


→→→→◎前のペ―ジが第2部:えんどうさんの歯の磨き方
→→→→加藤さん、柳沼くんのカ作である。

さいごに
 えんどさんの日常生活はこちらの関わり方や注意で健康状態を維持できるし、向上もできると思います。注意する点はその時のえんどさんの体調によって違ってくるところもあると思うし改善できるところもあると思います。

(あっこ)