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  第30号
1994年8月30日発行

 お元気ですか? 残暑お見舞い申し上げます。
 今回は遠藤さんと介助の皆さんの暑い夏の思い出特集になりました。皆さんの夏のアバンチュールも機会をもうけて聞いてみたいものです。
 では、まず、遠藤さんの伊豆旅行のご紹介です。

” イ ヒ ” !

 ぼくにとって、今回の伊豆行きの最大の成果は、海にはいれたことでした。本格的に海につかれたのは、何十年ぶりだったでしょうか。しかもこんな寝たきりの姿になってからそれが出来るなんて、考えてもみませんでした。やっと背が立つか立たないかの深さのところまでいったのも、実はこれが生まれて初めてだったのです。
 しかも首だけ水面の上に出して、身体をたててもらうと、実に足が自由に動くのです。海水だから余計にそうだったのかも知れませんが、どこかのプールでこれをリハビリに使うことが出来たら、筋肉の衰えを防ぐこともできるのではないか、と感じました。余分な緊張もまったく入らず、実にリラックスできるのです。衰えを防ぐどころか、逆に機能を向上させることだってできるかも知れない。これは大発見でした。支えてくれた5人の人たち、ありがとう。何とかこれを生かせたら、と思います。
 面白かったのは、松崎の海水浴場になぜかうろうろしていた、黒いプードル(ダックスフンド?)です。ぼくらが行ったとき、それはすでにいて、ものほしそうに行ったり来たりしていたのですが、無視していたのでそれはいつのまにか向こうへ行ってしまいました。
 なぜそうしていたかはあとで書きますが、ぼくらが待っていた岸壁のコンクリートのところからそう遠くない砂浜に水着すがたのお姉さんたちが三人で来ていて、そのうちのひとりの長い髪に、さっきのプードルがしきりとじゃれついているのです。彼女が「いたい、いたい」と言って逃げ回り、他のニ人もきゃあきゃあいって騒ぐので、余計にその犬は喜んでじゃれつく。「あれは犬と遊んでいるのでほなくて、犬に遊ぼれているのだ」などとぼくは笑っていました。
 ストレッチャーに寝たまま、ふと顔を右へ向けると、車がたくさん止まっている真ん中に黄色いクレーン車があって、そのクレーンの先の方に、「IHI」と書いてあるのが見えました。「あれはいったいなんだろう」と、わざとぼくはとなりにいた介助者に聞いてみました。彼はいろいろ真面目に考えたあげく、「ぼくは語学カがないから、分からないなぁ」と答えたのですが、「ぼくには、あれは単に“イヒ”と書いてあるように見えるよ」と、ぼくはすかさず言ったのです。 ぼくは、そのクレーン車のクレーンの先がキリンの首のようになっていて、そいつが横目で海水浴客、特にそのお姉さんたちをみおろしながら、歯を剥いてニタッと笑っている漫画を想像したのです。だって、そのキリンの口に吹き出しをつけて、その中に「イヒ」と書いたら、絵になると思いませんか。
 その場では結構受けたのですが、これもプードルの活躍のおかげでした。「これは寝ている遠藤さんならではの着想だなぁ」などと妙な感心までされたりして。 実は、この時ぼくは、空を見ながら雲行きばかりを気にしていたのです。一緒に行った女の子たちふたりが水着を買いに行っていて、それを待っている間にまた雨が降ってくるのではないかと。
 この日は朝から時おり霧雨まで降ってくるという、わりに曇りがちの日で、山からおりようとするときに「いちおう、海パンもいれておいて」と言ったぼくが、みんなから冷やかされたほど涼しくもあったのです。
 しばらくして、やっと彼女たちが帰ってきました。「女の子が水着を探すのは大変なのよ」などと言い残し、男ひとりに車を運転させて行ってしまった彼女たちが。その間なんと一時間以上。
 残った男どもが、被女たちが水着を探しているところをふざけてロまねしてみせたり、時にはかなりの毒舌まで飛び出したり、そんなことをしているだけでは間がもたなかったので、例のプードルの一件は、見ていて時間つぶしにはもってこいのことでした。
 それにしても、事前に「せっかく伊豆まで行くのだから、一度ぐらいは海へいこうよ。その準備もしてきたほうがいいかもしれないよ」と言っておいたのに、と思いながら、やきもきしていたというのは事実です。もちろん、それぞれにそれなりの事情はあったのですが。それに、みんなが泳いでいるのを見ていて、やっばり自分も泳ぎたくなってもじもじしだす、という気持ちもわかります。また、新しい水着を着て現れた彼女たちを見て、やっばりそれだけのことはあったんだなぁ、とも思いました。それぞれに、その人らしくとても似合っていたからです。
 ちょうどそのころ、それは午後三時に近くなってからのことなのですが、それまで北東から流れていた雲が急に南西方向からの流れに変わったのです。それとともにみるみるうちにその雲じたいが吹き払われて、うそのように青空があらわれ、日が射してきました。
 運良く、ぼくらが海に入る頃には涼しすぎることもなく、かといってかんかん照りの炎天下というわけでもなく、ちょうどよい日和に恵まれることになりました。おかげで、最初に書いたような責重な体験が出来たわけです.まだ7月の30日なのに、クラゲがうようよしていたのには閉ロしましたが。
 帰りに寄った堂ヶ島の岩の上にある露天風呂も、そこから見える海に落ちるタ日がとても美しく、印象に残りました。そこまでかつぎ上げて行ってもらうのが、かなり大変なことでほあったのだけれども、でもやはりつれて行ってもらって本当によかったと思います。

 今回はこの日が最大のヤマとなりました。とても密度の濃い一日でした。
 山(僕たちの農場)は夏草でぼうぼうの状態でした。果樹が新しく何本も植わったせいか、せっかく整地したところも全体に狭くなり、あたりの樹々もうっそうとしていて、プレハプの中にまで虫が入り、蚊はともかくとしてアプには悩まされました。
 白砂さんとも入れ違いで、何がどうなつているのか、何がどこにあるのか、また畑のどこに何が植わっているのかも、一度聞いたぐらいではなかなか分からず、そこではほとんど何も活動できなかったのが心残りです。でも、はじめてなった桃もおいしかったし、もぎたてのプチトマトもしっかりご馳走になってきました。魚も安くて新鮮でおいしいし、やはりここはいいところだせ!
 翌々日は蛇石峠をこえて蛇石(ヘびいし)を見、そこから蛇石火山の探索に行こうとしたのですが、ストレッチャーに寝たまま車に乗っているぼくは原生林に近い森林の中でうまくナビゲーションをする事ができず、また舗装のないゴロゴロ道ではよけいに首をいためてしまう恐れもあって、途中であきらめて海沿いのマーガレットラインを松崎まで走ってくるという中途半端なドライプになってしまいました。ちなみに、僕らの農場のあるところは、実はこの火山の一角なのです。えらく遠くまで行ったようだけれども、本当はこの山の反対側をウロウロしていただけなのでした。
 帰りの日は西伊豆の海岸沿いを土肥まで北上し、いつもならそこを右折して峠をこえ、天城湯ヶ島へ出てくるところを、逆に左折して海岸沿いのクネクネした道を戸田(へた)を通って沼津まで走ってみてもらいました。エンジンがオーバーヒートしかけるなどのハプニングもありましたが、途中海越しに富士山がうっすらと頭だけ出しているのも見え、なかなかきれいな景色を見ることができました。その後沼津からは東名高速で背中にたっぶりと西日を浴びながら、無事帰りついたわけです。ごくろうさまでした。
 一言お詫びしておきたいことがあります。今度の伊豆旅行は介助者全体のイベントとして行う予定でした。それが全員に声をかけることができず、お知らせも出すことができなかったのは、ちょうどみんなが試験の期間に入ってしまって、そのために人手がなかったのです。
 結局ぼくのところに直接介助にきてくれた人か、ぼくがひとりで電話連絡がしきれた限りの人にしか呼びかけられませんでした。またの機会に、あらためて計画できたらと思います。

(遠藤)

ちなみに、遠藤さんとしては、運転手1人、介助者少なくとも2人が集まればいつでも伊豆へ行きたい気持ちだそうですから、チャンスがあったら誘い合わせて一度”いのちの森”へ出かけてみませんか?

 

さて、ここで、今回伊豆へ同行した神谷さんの介助者日記があまりにも面白いので抜粋させていただきます。

8/9 神谷
 8/2まで、私も伊豆へ行って来ました。伊豆は本当にいいところです。楽しかったです。
 伊豆に行って私は「アブ」という虫について知ることができました。私は彼を初めて伊豆で見た時、何と新種のハエかと思った!! だって手をすっていたからです。そして彼は人間をしばしば刺す、ということも学んだのでありました。
 伊豆へは、介助者の中では今回一番長い滞在(4日間)となり、でもなんだかあっという間の旅行でした。今まで会ったことのないせりざわさんとも知り合いになれました。
 夏みかんをたくさんもいできて、帰ってからジャムにしたら、家族や友人に大変好評だったのも、楽しい思い出となることでしょう。そして4回もジャム作りに精を出したにもかかわらず、まだ夏みかんが10個近く残っている、というのも、 楽しい思い出となることでしょう(もうそろそろ、楽しくない)。
8/10
 遠藤さんが、伊豆の思い出をワープロに入れていたのを夕べプリントしました。
 読ませてもらったら、海に行ったときのことが書いてありました。私と小川さんの水着の買い物について、まあいろいろ男性陣のほうでコメントがあったようです(興味のある人は遠藤さんにみせてもらって)。
 プリントのあとで、文中の「毒舌」とは一体何なのか、遠藤さんをスルドく追求してみたのですが、またいつもの「ウハウハウハー」という笑いでうまくかわされてしまいました。遠藤さんもオトナだから、全く。このようなかわし方はうまい、と思いました。
 でも、あのときは水着ごときで1時間以上も待たせてしまってすみませんでした。一番もたもたしたのは私だったのです。
 それにしてもやっぱり水着はスリムな人が着ると絵になります。私は水着というものの恐ろしさを感じたのでした。


 ところで、遠藤さんからのお願いですが、9月・10月は、学園祭の準備等で介助が見つかりにくい時期なので、ぜひ皆さんの協力をお願いしたいとのこと。
 次回の介助者ミーティングは9月5日(日)15時からですから、都合をつけてご参加下さい。

 最後になりましたが、介助者の自己紹介、全部は載せきれませんが、一部を今回ご紹介します。ユニークな方が集まっているようですから、いい友達になれるとよいですね。

 今井 美貴子 18歳の看護学生です。
 まだ1年生ですが、未来の保健婦をめざして頑張っています。
 趣味は、プロ野球観戦です。ヤクルトのファンです。
 それから、テニスも好きです。好きなのですが、下手なので誰も相手にしてくれません。テニスの上手な方、私に教えて下さい。

 松本 綾佳(マツモト アヤカ)
 S50.5.15生 B型
 生まれも育ちも茨城県
 聖徳大学短期大学部(福祉専攻)
 趣味といえば、スポーツ観戦(バレーボール・サッカー(アントラーズファン)・プロ野球(巨人ファン。今の巨人ちょうしいいよ!!)・etc)。
 大学で、子どもと社会研究というサークルに入っています。小さい子どもを見ると、無意識のうちにほほがゆるむ。それくらい子ども好きです。

 福井 紀子
 遠藤sanの介助を始めて三年くらいたつ、マジメなのかマジメじゃないのかわからない変なやつ! 友達より「ヘンタイ」と呼ばれている。
 悲しいことに、もうすぐ30歳なのです。「私がオバサンになっても・・・」

 芳賀 明美(ハガ アケミ)
 S50.12.16 164cm
 サンシャインビジネス社会福祉専門学校(介護福祉科1年)
  住居:埼玉県
  趣味:音楽鑑賞 主に洋楽、日本ではLOUDNESS等。バンド系の女です。
 まだまだ初心者の私ですが、ケガさせることなくがんばって続けていきたいと思います。でも、大便の介助をまだしたことがないので、ちょっと不安です。

 加藤 麻衣子
 S51.3.22生まれ(18歳) A型
 鶴見大学女子短期大学部 歯科衛生科
 今、教習所に通っています。2月から通っているのに、まだ3段階のみきわめがもらえていません。誰か教習所で苦労している人いませんか?
 私は初めて会った人となかなか話ができませんが、私の前後に入って、もしも時間があるようでしたら、話しかけて下さい。

 武藤 光
 昭和50年1月19日生まれ
 生まれたのは東京都足立区(ビートたけしの生まれたところでもあり、三遊亭円楽師匠出生地(知らないだろ!!)でもある)に生まれ、今は埼玉県八潮市(今は知らなくてもいいが、10年後常磐新線の駅ができると一層便利になる)に住んでいます。現在、城西大学経済学部経済学科の1年に在学中です。「クラブやサークルは何入っているの?」と聞かれますが、躰道部に入っています。知らない人は聞いて下さい。

 金久保 博之(かなくぼ ひろゆき)
 S48.2.22 魚座 (21歳) O型
 明治学院大学英文科 2年
 出身:埼玉県行田市
 趣味:音楽鑑賞・野球・ヴォーカリスト
 現在、大学で児童問題研究部の部長をやっております。我が部は主に障害児を対象とした研究(?)をしております。そして隔週日曜日に『こども会まどか』と呼ばれる学校外の活動に参加しております。そこは障害児と共に様々な場所に出かけたり、こどもとの交流をはかる場です。田町にある障害者福祉会館が主に活動の場です。よろしければ「こども会まどか」に参加してみてはどうですか? おもしろいことばかりで楽しいところです。連絡まっております。

佐々木 江里子 20歳 ♀
  ’74.4.6生 A型
 生まれも育ちも横浜の”ハマッ子”です。今は、理学療法士(みなさん知ってますか? 知らない人は私をつかまえて聞いて下さい。)を目指し、日夜がんばっています。趣味は、スポーツ観戦・スポーツならば、ルールが分からずとも何でも見ます。
 こんな私をどうぞよろしくお願いします。

 こんにちわ スッ!
 東京理科大学第2部化学科1年の杉館(すぎだて)です。
 現在(6/25)柔道部に所属しています。柔道をやって3ヶ月です。早くも肋骨にひびを入れて活動が出来ない状況にいます。But、肋骨にひびが入っていても、試合に参加し練習もしています。
 皆様へ 一言
 −−むりはいけません−−

 荻野 麗奈
 1974.11.13生 19歳
 さそり座 A型
 どっぷり神奈川県人
 趣味:映画鑑賞(洋画)、その他いろいろ。その時によって?
 現在は清泉女子大学文学部文化史学科2年です。
 だれか、B’zのファンの人いませんか?

 稲留 聖子(いなどめ せいこ)
 S50.9.23
 聖徳大学短期大学部(福祉専攻)
 平山亜希ちゃんに、とても仲良くしてもらっています。家が同じ方向なので、いつも一緒に帰っています。学校はとても楽しいです。まだまだ初心者の私ですが、よろしくお願いします。遠藤さんから、いろんなことを学びたいと思っています。
 そして、私は福山雅治さんのファンです。

 大場 岳彦(18歳・男)
 といいます。今年の4月に、東京医科歯科大学に入学し、希望に燃えていたのですが、最近はだいぶ怠けぐせがつきました。趣味は野球です。やるのも見るのも好きです。ひいきのチームはヤクルトなので、ヤクルトファンの人がいたら、神宮球場までつきあって下さい。あとは特に書くことないです。それでは皆さん、どうぞよろしく。

 男 渡辺 三展 21歳
 hello、ミッチでーすーー。
 今、国士舘大学政経U学部政治学科2年に在籍中です。でも、僕はね2浪しちゃったっていうか、2年間遅れて入ってしまったから、年はもう21歳と5ヶ月ぐらいになってしまう男、水瓶座、B型、身長171cmくらいのお兄さんなんだよ。今はレンタルアコムでCDやビデオの返却or貸出etcをしてるんだけど、まあ人生山あり谷ありで大変なんだわぁーーっ。それでは皆さん、彼女いない歴21年5ヶ月のこの私ですが、ヨロシクね。