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No.59 March 2002

えんとこ通信

  目 次

新専従ヘルパーの挨拶
自分に残された時間
# せっかくのまたとない出逢い ♭
会計係急募!
おわび・介助料の送金が遅れます
えんとこ介助情報交換メーリングリスト
歯科衛生士からのお願い(談話)
入浴サービスでの事故
エントコでの食事
『お疲れさま会』を催します!


† 新専従ヘルパーの挨拶 †

 12月1日より、「えんとこ」の専従ヘルパーになった菅家和行(かんけかずゆき)です。
 介助者ノート、拝見しました。どんな方がメンバーなのかも、まだよくわかっていません。正直なところ、まだ手探りの状態です。いたらない事ばかりとは思いますが、よろしくお願いします。
 なにか注文などありましたら、遠慮なくおっしゃってください。
 また、こちらからなにかお願いすることが…。(2001年12月25日・介助者ノート「えんとこからの贈り物」より)


∞ 自 分 に 残 さ れ た 時 間 … ∞
遠藤 滋

 去年という一年は、ぼくにとってとんでもない年になってしまいました。
 頸椎の手術も、いまだ全く諦めたわけではありませんが、客観的に見て、これからそれができる可能性はきわめて低くなったといわざるを得ません。
 それより何より、周辺的な問題が大きすぎます。もうそのための争いごとはまっぴらだ、というのがぼくの本音です。とはいっても、来年の4月から障害者に対しても「介護保険制度」(ぼくらの場合、「支援費制度」)が導入されることになるので、それには対応せざるを得ない。頭の痛い話です(これについては、次号に書くことにします)。
 いや、むしろいよいよほんとうの出番かな?

 それにしても、そろそろぼくも自分に残された時間について、考えざるを得ない年頃にきているようです。頸椎に決定的な障害を持ち、十年以上にわたって寝たきりの状態で生きてくれば、なおさら…。
 じつは、本当はかなり以前から、考えてはいたのです。気がついてみれば、ぼくにとっては、「老後」など、はじめからなかった。

 ともあれ、ぼくはこれから、いかなる意味でも“独りでがんばる生活”はやめることに決めました。いまさら改めてこんな事を言うのも、じつはおかしな話なのですが…。

○ 立派な仕事を残そうというような意識はあっさりと捨てる
○ その日にやりたいことだけを思う存分にやる
○ 互いに違うひととの出逢いと、そこからはじまる自由な関係をだい
  じにする
○ ひとつひとつの時間のながれを大切に味わう
○ ごく自然なかたちで、ひとりひとりのいのちを生かしあえる環境を、まわりにかたちづくってしまう

 これからは、きっぱりこれでゆくことにします。
 こういうぼくを、生かすなり殺すなり、なんとでも自由に扱ってください。よろしくお願いします。


# せっかくのまたとない出逢い ♭

 「ぼくと渡り合えるひと、いないのかい!」…、なーんちゃって。
 でも、こんなにありのままの自分のいのちの姿を裸でさらして生きているひとなんて、そうはいないよ!
 なにせ、性の欲求にいたるまで、すべてかくしてはいないのだから…。

 それはともかくとして、今、ぼくの介助に関わってくださっている方々、たまたまボランティアに行ったところが、映画『えんとこ』で少しばかり顔が知られるようになったひとのところだったよ、などという程度のことでは終わらないでくださいね。
 そうはいっても、たとえ「ボランティア」って、やってみたけどこんな程度のもんだったよ、で終わったとしても、ぼくは決して否定はしません。単にぼくというひとと、波長が合わなかっただけなのかも知れない。お互いにひととひとなのだから、そういうこともあるでしょう。
 でも、ぼく自身としては、せっかく出会ったのだから、それで終わらせたくはありません。ただ一方的に、自分の手足として働いてもらえば、それでいい、なんてちっとも考えていないのです。

 ひとりのひととしてぼくが抱えている問題は確かに多い。でも、それはお互いさまでしょう?
 ひとは、しばしば自分自身にあまりに大きくて重い問題が起こってくることを、考えないものです。じつは、考えたくない…? あるいは考えようとしない…!
 しかし、よく考えてみてください。ひとはその思い通りにはなかなか生きられないのが現実です。ひとであるかぎり避けられない“老い”によっても、自分の身に「障害」を負うことは、なかなか避けられないのです。それだけでなく、事故によっても、また病気などによっても…。
 それが、ひとというものの実際の姿でしょう?
 ぼくと出会って、そういう現実にふれ、それと真っ向からむきあうひとが一人でもでてきてくれたら、それだけでうれしい。人生というものは、そんなに“おいしいところ取り”ばかりはできないものなのですよ。それだけでなく、ぼくはそれを踏まえて、もっと積極的な提言までしているのです。
 できれば、ぼくは自分に関わってくれているみんなとの間に、いざとなればお互いに助け合える関係を組織したいと考えています。このことが分かってもらえれば、あとは「ボランティア」とはなにか、なんてむずかしい議論をする必要もないでしょう?
 同時に「ここまで…」という線を引く必要もなくなる。この世界は、じつは限りなく自由なのです。(2002.2.20)


会計係急募!

 「えんとこ」の会計をしてくれるひとを募集しています。
 これまで担当してくださっていた斎藤さんにお子さんが生まれるそうなので、じつは昨年暮れのうちに新しいひとを探す約束でした。予定日は5月だそうです。
 ところが、いまだに後継者が見つかっていません。ふだんは直接介助に来られない方でも、もしやってみようという方があれば、是非ともお知らせください。
 仕事の内容は、概していえばいくつかの制度で役所からはいる介護料全体の管理と、介助者一人ひとりへの配分です。ちなみに、これも介助のひとつだということで、月額2万円程度の手当てを支給することになっています。
 早急になんとかしたいので、どうかよろしく!


その他の募集

 同時に、電話当番、「えんとこ通信」編集係も募集中。
 また、役所からの介護料は、本人には直接支給されないので、年に計十数人の名義上の受取人(登録介護人)をつくっておく必要もあります。
 詳しくは、本人である遠藤に直接おたずねください。よろしくおねがいします。


訂正

 前号の映画『えんとこ』がビデオになったという記事の中で、Ise filmのURLが違っていました。正しくは http://plaza14.mbn.or.jp/~isefilm


おわび・介助料の送金が遅れます

 昨年11月以降の介助料、及び諸手当の送金が遅れています。
 理由のひとつは、不調に終わった例の頸椎手術のための入院騒ぎに紛れて、結果として介助者の絶対数の不足を招いてしまい、区に登録する介護人(代表して介助料を受け取る人々)をなかなか選定できなかったこと、もうひとつは、そのこととも関連して、書類提出などの事務作業が停滞してしまったことです。
 暮れのうちに事務作業もどうにか終わり、登録も済んでいるので、2月20日までにはなんとか送金できるようになると思います。
 ご迷惑をおかけしました。ここにお詫びいたします。同時に、わたしの介助者グループの全体に、その一員としてご協力をお願いしておきたいと思います。(遠藤)


電話当番より

 介助シフトに変更の必要が生じた場合を除いては、後から特別に確認の電話はしないことにしました。 仮決定は、そのまま決定ということになります。ご了解ください。


〒 えんとこ介助情報交換メーリングリスト 〒

 藤原くんに、介助者のためのメーリングリストを作ってもらいました。
 これに登録してくれた人には、えんとこの介助に関する情報がこちらから、そして登録者のだれからでも発信できます。すぐには機能しないと思いますが、電話当番の労力の軽減にはなってゆくと思います。
 詳しくは、以下の説明をぜひお読みください。

 メーリングリスト作ってみました。 メールアドレスは、
  XXXXXXX@MobileML.com です。
 それで、メーリングリストへのメンバーの追加/削除方法ですが、以下のURLにアクセスして行ってください。
  http://www.mobileml.com/login.php?S=1&E=XXXXXXXXXXXXXXXX&P=XXXXXXX
 
 注意事項として、
1. メール1通あたり文字数は160字となっています。それ以上書き込むと160字以  降が切り捨てられます。これは、今回作ったメーリングリストがモバイル仕様(携帯電話向けに作られたもの)のためです。メーリングリスト参加者はiモード等携帯電話がメインだと思いましたのでそうしました。
2. メール受信は1通あたり(iモードの場合)0.6円ぐらいかかります。週2回メールを送るとしてだいたい月5円ぐらいかかります。迷惑メール等騒がれている時期ですので、登録前にだいたいどのくらいの頻度でメールを送るのかをメンバーに説明しておいた方がトラブル防止ができると思います(メーリングリストなので、メンバー同士がメールすれば意味無いのかもしれませんが)。
3. メーリングリストのため、返信するとメンバー全員に送信されます。これもトラブル防止のため事前に了解をお願いします。
 以上です。何かあったら、連絡いただければ対処方法等考えます。

(藤原)


歯科衛生士からのお願い(談話)

 遠藤さんの口腔内は、あちこちが歯周病になっています。これは完治が難しく、ずっと戦っていくしかありません。歯磨きだけが武器。介助するみなさん、よろしくね!

(北沢保健福祉センター・内田 荒井歯科室・鈴木)


♂ 入浴サービスでの事故 ♂

 2001年11月26日に起こったこと。
 ぼくはいつも入浴の時、メッシュ張りの車いすの上に、両側に3本ずつ、計6本のひもがついたネットを敷き、その上に裸で座らせてもらって、そのまま浴室の中まで連れて行ってもらいます。浴槽に入るときは、そのひもをリフトのアームに引っかけて体を持ち上げてもらうのです。
 ネットは一枚織りで、しかも頭の側と腿の側とにちゃんとした区別があり、それはちょっと注意すれば、誰でも分かるようなかたちになっています。
 それが、さかさまに置かれていたのが、ことの発端でした。体を洗い終わって、いざリフトでつり上げてもらおうとしたとき、脚の方から先にあがっていったのです。結果として逆さ吊りに近い状態になってしまいました。
 ひもの長さが違うのだから、そうなるのは当たり前です。ぼくがそれに気づいて、「反対だよ、反対だよ」と言ったとき、何を思ったのか、今度はそのままの姿勢でおろされてしまった…。逆さのままおろしたら、どこが一番はじめに着地するかは決まっています。頭がじかに当たり、頸椎に決定的なダメージを与えたとしても、なんの不思議もありません。
 しかも、その時ちょうど車いすの背もたれの中央の、少し突き出た金具に数秒間にわたって二度、後頭部を押しつけられる結果になってしまったのです。普通に座っているときはどうということもないのですが、そのあたりだけが構造上メッシュとメッシュの間に、わずかな隙間ができていました。だから露出した金属のかなりとがった部分に、じかにふれることになったわけです。
 その時どれだけの力が頸椎に加わったかは、ぼくにも分かりません。しかし「痛い」と感じたとたんに、首を縮める反応が起こるのは、誰でも当然でしょう?
 ただでさえ、脳性マヒによる二次障害のために、重い変形性頸椎症による神経管狭窄を持っているぼくです。少し間違えば、たとえば横隔膜が硬直してしまって、呼吸ができなくなるというような危険性も、指摘されている身です。もしそういう事態になったら、それっきりにもなりかねません。

 21世紀のはじめの年だった昨年は、ぼくにとってとんでもない一年になってしまいました。例の「埼玉医大問題」で、おおきなストレスを溜めたまま疲れ果て、そのあげくに区が委託した業者、「アースサポート」による入浴サービス中の事故でだめ押しを喰らうなんて!
 いま、ぼくの体は、一年ほど前からただでさえ強くなってきていた足首から先のしびれが、それまでの二倍以上にまで強まってしまっています。時に何千本の針が刺さっているような痛みを足の裏、特にかかとのあたりに感じます。全身の筋肉の緊張も激しくなり、ふたたび食事などにも、大きな支障がでる状態になっています。

 もめ事やあらそい事はもうたくさん! …それが今のぼくの本音です。
 それでも世田谷区と、株式会社アースサポートには、厳重な抗議文を書かざるを得ませんでした。あとは弁護士に委託して、賠償責任についての諸問題に始末をつけてもらうことと、区内の障害者団体や個人の連合体である「介助連」に、介護保険制度(支援費制度)を含めた制度の再検討を、共に区に迫ってゆくことを確認した次第です。
 ぜひとも了解しておいてください。よろしくお願いします。


★ エントコでの食事 ★
管理栄養士 松月弘恵(東京家政学院大学 講師)

 みなさんこんにちは。この1年、すっかりご無沙汰してしまったので、「はじめまして…」とご挨拶したほうがいいのかもしれませんね。
 私は平成10年の夏からえんとこに参加させていただきました。きっかけは、北沢訪問看護ステーションの管理者の佐々木さんから「ねえ、1回の食事時間が6時間もかかる利用者さんがいるんだけど、栄養士の立場から関わってもらえないかな?」と相談を受けたことでした。
 初めて遠藤さんにお会いして、何故か前から知っていた方に再会したような不思議な感じがありました。でもそれ以上にショックだったのは1食600kcal程度のお弁当を食べるのに、6時間もかかること。その上「食事は苦行でしかない」と言われたこと。さらにとどめは「僕のQOLは僕自身のもので医療者が勝手に決めないでほしい」という言葉でした。 その日以来、遠藤さんは私にとっての先生になったのです。

1. エントコでの食事介助について
 食事介助については以下のことが原則となります。
(1)遠藤さんに食事を見ていただいて、調整方法を確認する
 これは鏡を使って確認していただきます。「これは刻みますか?」と伺ってください。
当然体調によって調整(そのまま,刻み,バーミックス使用等)は異なります。
あくまでも遠藤さんに伺って下さい。
食事介助のマニュアル化の一部は可能であっても、微調整は必要です。
 1口のお食事を食べるのに6分以上かかるのは
 ・ 1口の食事量が多すぎる
 ・ 調整方法が間違っている
 のいずれかです。
(2)食事を調整する
 遠藤さんの口腔機能の問題点は食塊(しょっかい)形成が困難なことです。簡単に表現するならば、口の中でばらけてしまってまとまらないということです。
 かと言って、あまり硬いものでは咀嚼(そしゃく)するだけでも大変なのです。
よって以下のことが必要となります。

@ 硬いものは刻む
 ごぼう、れんこんなどの硬いもの、かまぼこなどの弾力のあるもの、えのきだけのような噛み切りにくいものなどは刻みます。
 刻みのサイズは、米粒大です。
 ただしヨシケイの食事になってからは刻まなくてもよいものが増えました。必ず、遠藤さんに伺ってから調整をしてください。

A おかずを大さじ2/3杯口に入れたすぐ後に、飯1/2杯口に入れる
 刻んだ食事をでんぷん質の多い食材(ご飯、里芋、さつま芋など)と一緒に食べるとを一緒に食べると、中でまとまりやすくなります。
 つまり餅つきと同じようにでんぷん質を圧縮することでまとめていくのです。

 遠藤さんのお食事は、1日の生活の中で大きな位置を占めています。生きる上での必要な栄養量を確保するだけではなく、生きる姿勢を示していると感じています。確かにチューブ栄養にするともっと楽に栄養は摂れます。しかし遠藤さんは「食事から栄養を摂りたい」と望まれています。しかし、食事は危険な行為であることも確かです。
 特に今年はまた一昨年に引き続き、エントコを卒研のテーマとしてお手伝いさせていただく学生がおります。東京家政学院大学 管理栄養士専攻課程4年になる 斎藤と根岸です。それから時々、本田と中村もお邪魔すると思います。みなさん是非いろいろなことを学生達に教えてください。本日1月31日に食事介助の壁媒体を作成しましたので、是非見てください。そして「こうしたらいいよ」「ああしたらどうかな」といったご意見やご質問を頂ければ光栄です。
 みなさんといろいろな考えを集めて、遠藤さんの意思を核として、よりよい食事介助方法を考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


♪ 『お疲れさま会』を催します! ♪

 学校を卒業して、これから社会人となられるひとも多いことでしょう。
 地理的な条件から、これ以後しばらくは「えんとこ」に来られなくなるひともいるだろうし、仕事に慣れるまでは…、というひともいるかもしれない。
 ともあれ、恒例の『お疲れさま会』を、下記の要領で行いたいと思います。
 みんなが顔を合わせられるよい機会でもあります。ぜひご参加ください。

1. 日時 2002年3月23日(土) 午後7時より
2. 場所 えんとこ(遠藤滋宅)
3. 内容 できるかぎり参加者の希望を反映したいと思います(幹事を募集)
4. 費用 割り勘(基本的には遠藤の立て替え)持ち込み、差し入れ大歓迎

 これは「追いコン」ではありません。これからも来てくれるひとがあったら引き続き来てほしいし、来たいと思うひとがあれば、いつでも来てください。
 たくさんのひとが集まってくれるのを、ぼくは楽しみにしています。

2002.2.21