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遠藤宅周辺の坂(990221)

 今回も前回にひきつづき、遠藤さんの自宅周辺の坂を調べました。遠藤さんが以前、世田谷区役所へ行くときによく通っていた道をたどって、坂の勾配や舗装の状態を調べました。 


 小田急線梅ヶ丘駅近く、豪徳寺よりの踏み切りを渡り、世田谷線の上町方向へ向かう坂道。
 場所によって多少の差はあるが、全体的に勾配は3度だった。 
 問題は車道よりも、歩道のほうに多い。
 写真のように、街路樹の植え込みのある部分は歩道が狭くなっていて、車椅子と人がすれ違うには十分な幅とはいえない。
 また、歩道はどこも車道にむかって傾いていて、何もないところでも1度、車庫の前だと 3〜4.5度も傾いている。
 植え込み部分の幅は 112cm、歩道全体の幅は 213cm。
 車道と出会う部分は、写真のように一応段差が解消されているようにみえる。だが、このように急な斜面ができてしまうと、この部分で車椅子を止めておくことは、介助者にとっても車椅子にのっている人にとっても、とても不安定で危険だ。
 手前の最も傾斜が強い部分は 9度。その他では 5〜7度。
 また、歩道と車道の境目には必ず段差がある。ほんの少しの段差でも、実際に車椅子で通るには、そこで一旦止まって前輪を持ち上げなければならない。段差がなくても、車道と歩道の区別がつくような工夫が必要。
 写真のように整備が悪く、凸凹が激しいところもある。できるだけこのような状況は改善したいものだ。
 さきほどの坂を上がりきると、信号機のある十字路を経て、ふたたび緩やかな下りになる。ただしここからは道幅も狭くなり、正面方向からの、一方通行。それまでのような形の、歩道すらない。
 車道に引かれた白線から左側の側溝までは 64cm。車椅子の幅が 85cm なので、車椅子は白線からはみだしてしまう。
 塀側に車椅子を寄せた場合は、側溝部分に 7度も傾斜があるので、車椅子が傾いてしまい、とても不安定な状態になる。
 車道の幅は 275cmで、車の通行量も結構多い。
 ただ、ここは道路の拡幅工事中で、後から聞いたところによると、上町方面から来て、途中で行き止まりになっている道路と、直接つながるらしい。
 国士舘大学横の坂道。この道が世田谷区役所前まで通じている。ただしここは現在工事中だった。
 写真のスロープおよび階段は新しく造られたものだが、スロープ部分の幅は 60cm しかなく、勾配は 23度もあった。工事終了後は、いったい、どうなるのだろうか?
 結局このスロープは利用せず、以前のままの形が残っている、横の道路を使うことにした。
 勾配は 8〜10度。やはり坂としては急だった。
 この坂の途中の右手にあたるところに国士舘大学の裏門のひとつがあり、そこに落ちてゆく道の傾斜が 21度もあるので、うっかりすると車椅子が引き込まれてしまう危険性がある。通るたびに、とても怖かった。


<まとめと感想>

 前回と同様に坂の勾配、道路の舗装の具合、安全に車椅子が押せるかどうか、などに注目して調査を行いました。
 車椅子だけではなく、乳母車や歩行器など、多くの人がこうした器具を利用することを考えると、歩道の幅を十分にとることや、歩道の傾斜を解消することは、とても重要な課題です。
 しかしこの日調査したところは、年度内に今行われている工事が終わり、新しく整備されるところなのだそうです。その結果どうなったかは、改めて調査したい。(K.H.および調査スタッフ一同)

 今日、分かったこと。
 ひとつは、前回とあわせて、わりと極端な坂道に焦点を当てて調査してきましたが、単純に勾配だけを問題にすれば、思ったほどきついところは、それほど多くはなかったということ。他の要素を解決すれば、それなりに使いやすくなるところも決して少なくない、ということです。
 またもうひとつは、今回遠藤宅の前の通りをまっすぐ行って、小田急の線路を越えてからの道路は、かなりの上り坂で、右にゆるやかにカーブしていますが、車道を含めて、道路全体が左側へ傾いている、ということでした。
 むかって左側の歩道にくらべて、右側の方があきらかに通りにくいのです。それで、はたと気付きました。地形をそのままに反映して、この道路と交わるすべての道路が、右は高く、左は低くなっているのですね。その結果、車道に向かっての傾斜が、全体に右の方がきつくなっていたのです。
 これは、車の安全にとっても、決していいことではないのではないでしょうか? 遠心力がはたらくことを考えると、雨の日など、むしろ左側が高くなっていた方が安全なのではないのでしょうか。
 車椅子で何度も行き来していると、思わぬことに気付かされます。とりあえず、今回はよかった、よかった。(遠藤)