公開質問状について賛同者を募ります

 各位

 わたしは東京の世田谷に住む、一人の「寝たきり」障害者です。現在は、自分で推薦したヘルパーや、有償ボランティアとしての「介助者」を区に登録し、なんとか1日24時間介助者を確保し、生活を営んでいます。
 たまたま4年ほど前、伊勢真一監督のドキュメンタリー映画『えんとこ』の主人公としてその生活ぶりが紹介され、一部で話題になりました。
 さて、今年4月からは、「措置から契約へ」の美名のもとに、いわゆる「支援費制度」なるものが導入されることになっています。
 わたしはこれに根本的な疑問と、その導入への手続きに非常に不透明なものを感じ、多くの人の協力を得ながら「公開質問状」を本年元日付けで政府あてに送付しました。この制度が導入されると、わたし自身のこうした生活が成り立たなくなるだけでなく、その生存さえ脅かされかねないという危機感を持ったからです。
 ことほどさように、厚生労働省は今回、1月9日になってから、突然それまでの説明とは裏腹に、いきなり支援費に上限を設けることを検討していたことが、明らかになりました。実施までにもう3ヶ月を切っている段階でこうした暴挙に出るということは、わたしが「公開質問状」の中で質問項目として指摘したとおりのやりかたで、この問題をかたづけようとしていることのなによりの証拠なのではないでしょうか?
 たとえば現在、わたしには措置制度としての3つの制度を併用して、公式には1日あたり16.7時間の介助が保障されています。それが、新しい制度で、しかも上限枠が設定されると、1日あたりたったの4時間程度しか保障されないことになってしまうのです。これではわたしに、「死ね」と言っているのと同じことではないですか!
 当然、全国の多くの障害者たちが、厚生労働省に対して声をあげ、極寒の中、連日1000人以上の規模で抗議行動がおこなわれました。しかし、今のわたしの体の状態では、それに参加することは極めて困難です。
 その後27日になって、お互いの政治的な判断に基づき、事態はいったん収束に向かったかにみえますが、なお予断を許しません。政府側の姿勢が基本的に何ら変わっていないからです。
 この「公開質問状」を送付した後も、その賛同者は毎日確実に増えています。一度送付したからといって、わたしはさらに賛同者を増やし、多くの報道機関に取り上げさせるなど、世論を喚起し、政府への働きかけをやめるつもりはありません。それが、これらの人々に対して、わたしができるせめてもの連帯の意志の表明だとも思うからです。 
 これに対する多くの方々の速やかな対応を期待しています。よろしくお願いします。

   なお、今後、細かな事態の進展の如何に関わらず、わたしは粘り強くこうした働きかけを続けてゆくつもりです。機会のあるごとに、何度でもこの質問状を送ります。どうかまわりの方に呼びかけるなど、ぜひご協力ください。
 また、賛同者の署名用紙は、メールやファックスでもお送りします。英訳版も作成し、すでに海外からも支援の声が届いています。必要があれば、これもお送りします。

2003年2月1日
〒156-0043 東京都世田谷区松原6-26-19-303  遠藤 滋
(e-mail entoko.shigeru@nifty.ne.jp fax 03-3327-1523)