4月1日から導入される予定の
「支援費制度」実施にあたっての私の要求

遠藤 滋


 すでに提出してある、資料「1日の流れ」に基づき、以下のような要求をおこないます。

1.1日24時間介助の完全保障と、私自身の必要に応じた2人体制を認めること。
2.単価を「日常生活支援」によって計算するのではなく、「身辺介助」でおこなうこと。
3.夜間勤務手当の加算を認めること。
4.資格はこれまでどおり、当事者研修によって認めること。
5.これまでどおり代表登録を認めること。
6.世田谷区は、当面の経過措置として考えられている指定事業者の役割を、今後とも継続して行うこと。

 これは、加齢にともなう体力の低下と、脳性マヒの二次障害としての変形性頸椎症による神経管狭窄からくる諸症状のかなり急速な進行という現在の私の状況から出た、必要最低限の条件です。これが満たされないと、私は今の健康状態すら維持することができない。
 今、私には一日あたり平均16.7時間の介助が保障されています。実際には、代表登録によって介助料を確保し、それを再配分することによって、やっと生活を維持していることは、事実として区の担当者ならよくお解りのことでしょう。
 また、中でも私が推薦した登録ヘルパーの仕事は、単なる「見守り」どころか八面六臂の大活躍をせざるを得ません。身辺介助から、本人が把握しきれない家事や事務処理に至るまで、すべて同時にこなさなければならないのです。そもそも介助を4類型に分けること自体が私の現状には合わないのですが、こうした現実から考えても、「日常生活支援」の単価はあまりに低すぎます。ヘルパーは時間内に帰れたためしはありません。
 夜間でも事情は全く同じで、パソコンなどを使った作業をこの時間帯にもってこざるを得ないというだけでなく、就寝後も尿瓶の当て外しや、手足の曲げ伸ばし、掛け布団の調節などに、仮眠をしながらでも絶えず気を配ってもらわなければなりません。したがって、その後に仕事などの予定を入れることは、介助者にとってとても無理になってしまいます。
 さらに、問題は新しい介助者の獲得です。資格がなければ…、という以上私の介助をしてみたいという人が現れたとしても、所定の研修を受ける必要が出てきます。単に建て前づくりだけのために…。そこまで時間と労力をさいて、あえて介助に入ろうという奇特な人が一体どれだけいるでしょうか。あなたなら、どうですか?
 国が決めたどんな制度でも、おかしいと感じたことはおかしいと言うべきではないのでしょうか。私は今、命をかけて発言しています。このままで地方自治が本当に成り立つとお思いですか? これで日本の民主主義が守れますか?
 公務員の誇りにかけて、ここはしっかり仕事をしてほしいものです。よくよくお考えいただくことを切に願っています。伝統的な日本の仕事人の美風である、民間の職人気質にも負けないように…。 
(2003年2月21日)

 世田谷区役所担当職員 各位