現在の状況と「えんとこ」
「支援費制度」については、これまでいくつものグループ、そしてその連合体が国や地方自治体と、激しい交渉を重ねています。
「えんとこ」に直接関わる問題としては、以下のようなことがあります。
もしこの制度を受け入れ、それに乗ったところであえて現在に近い形を維持しようとすれば、「えんとこ」介助者グループそれ自体を指定事業体にしてしまうことも、考えられます。それなりの介助料も、払えるかもしれない。そして、それは必ずしも不可能なことではありません。一時はそのようなことも、考えていました。でも、そのためにはふたつの条件をクリアーする必要があります。
ひとつは、指定事業体になるための、認定基準を満たすことです。そのためには、常時膨大な事務作業をこなす必要がある、ということです。
もうひとつは、ヘルパーとしての有資格者を、必ず二名以上は置く必要がある、ということです。それから、最低20時間の、研修の問題。学生さんが多く、たえずメンバーが少しずつ入れ替わっている「えんとこ」で、はたして持続的にそれが可能でしょうか?
それが不可能だった場合、まだとれる方法として、他の"自立障害者"の介助者グループと連合して、指定事業体の認定を取ることがあります。でも、お互いに置かれた状況も、感覚や考え方も違うもの同士の間で、どこでどうしたら起こりうるトラブルなどに対処する約束事を作れるのでしょうか?
残っているのは、例えばHANDS世田谷などが立ち上げているNPO法人に頼って、そこに便宜的に介助者を登録し、そこからの派遣として「えんとこ」の介助者を確保するというやりかたです。どうしてもという場合は仕方ありませんが、これで「えんとこ」の独自性が保てるでしょうか。また逆に言って、それで当該のその法人ははたして成り立っていくのでしょうか?
ぼくとしては、やはりこの制度は最後まで受け入れたくない。当初、世田谷区独自の裁量で、区自身が指定事業体となって、「えんとこ」の場合のような自薦登録ヘルパーの受け皿になるという話がありましたが、それも9月末になって突然否定されました。
せめて来年4月からの実施だけは、断念させたいのですが…。
地域では、ぼくは「公的介助保障を要求する世田谷区連絡会」(介助連)としてともに闘っている「自立生活センター・HANDS世田谷」との関係が深いので、できる限り同一歩調をとってゆきたい。でも、この団体が結局はこの制度を容認してしまうことになるのを、とても危惧しています。
ぼくは、この制度は障害者のみならず、この国のひとびとの全員に関わることだと認識しているので、そう簡単には乗れない気がしています。そこで、国に対する交渉では、「怒っているぞ! 障害者支援費制度ネットワーク」(怒りネット)の旗印のもとに集まったひとたちに、思いを託さざるを得ません。
2002年12月01日
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