支援費制度は、ノーマライゼーションの理念を実現するため、これまで行政が障害者サービスを決定していた「措置制度」を改め、障害者がサービスを選択し、サービスの利用者とサービスを提供する施設・事業者とが対等の関係に立って、契約に基づきサービスを利用するという新たな制度である。
支援費制度の下では、障害者がサービスを選択することができ、障害者の自己決定が尊重されるとともに、利用者と施設・事業者が直接かつ対等の関係に立つことにより、利用者本位のサービスが提供されるようになることが期待される。
<支給を受けるまでの手続き>
(1) | | 自ら希望するサービスについて、指定事業者・施設の中から利用したい施設・事業者を選択し、直接に利用の申し込みを行う。 |
(2) | 市町村に対して、利用するサービスの種類ごとに支援費支給の申請を行う。 |
(3) | 市町村による支援費支給の決定がなされると、当該障害者に受給者証が交付され、当該障害者は、施設・事業者と直接に契約により、サービスを利用する。 |
(4) | 利用者負担を支払う(利用者負担は支援費支給決定時に決定される)。 |
(5) | 施設・事業者は、サービスを提供したときは、利用者に代わって市町村に対し支援費の支払いを請求し、審査の後、支援費を代理受領することになる。 |
支給決定について
サービスの利用について支援費の支給を受けようとする場合、居宅支援又は施設支援の種類ごとに市町村に対して支給申請を行う。
この申請が行われたとき、市町村は、
・障害の種類及び程度
・介護を行う者の状況
・その他の厚生労働省令で定める事項
を勘案して支援費の支給の要否を決定する。
・居宅生活支援費:支給量と支給期間
・施設訓練等支援費:障害程度区分と支給期間
を定めることとしている。
支援費制度における支給決定は、障害者から申請された種類の居宅支援または施設支援について公費で助成することの要否を判断するものであり、特定の事業者・施設から支援を受けるべき旨を決定するものではない。
したがって、例えば支給決定を受けA施設からサービスを受けていた障害者が、支給決定を受けた同種類のサービスの提供を行っている施設を支給期間内にB施設に変更する場合には、市町村に対して改めて支給申請を行う必要はなく、直接その施設に契約の申込みを行いサービスを利用すれば、支給期間の残余の期間について支援費の支給を受けることができる。
事業者・施設の指定基準について
事業者又は施設の指定は、事業者又は設置者からの申請により行われることとなるが、その際の指定基準としては、
・居宅支援事業者に関しては、従事者に関する基準と設備及び運営に関する基準
・施設に関しては、人員、設備及び運営に関する基準
を厚生労働省令で規定することとなる。
この指定基準は、
・支援費の対象となるサービスについて一定のサービスの質を確保する
・サービス提供主体としての遵守事項を規定する
・利用契約制度の円滑な運営を確保する
観点から設けられるものである。
指定基準のうち利用契約制度の円滑な運営を確保するための部分については、支援費制度の固有の領域として、
・指定事業者又は指定施設は、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない
・重要事項に関する書面交付義務
等を盛り込むこととしている。
契約者について
支援費制度においては、利用者が事業者から直接サービスの提供を受ける仕組みとなっていることから、
・原則として利用者本人と事業者の間でサービスの利用に係る契約を締結する
必要がある。
(参考)現行の措置制度